朝焼け
キッチン
ピンク色の光
ふわーっと射し込んで
まだ誰も家族起きてない
ひとりだけの時間
ブラックコーヒーと
バタートースト
がぶり噛み付いて

きっとお母さんのお腹の中は
こんなサーモンピンクの明るさ
だったんじゃないかなと
考える。

産まれる朝。


街を歩けば
聞こえてきた
オーマイリトルガール♪

あの、せつない歌声
聴くと思い出す
せつない思い出。
もう随分昔の事なのに
未だ思い出したくない
思い出すのを避けて通ってきた
そんな思い出。
だった、のに。

なぜだろう
フフフっと
笑いがこみ上げた。
がんばったね、私。
ツラかったよね、私。
懐かしいよ。
仕方なかったよね。
気付けば私は
自分の中の、あの頃の小さな私、を
自分で抱きしめていた。

さっきまでは
笑いがこみあげていたのに
次は涙が溢れそうになった。

がんばったよね、私。


やがて、歩を進める私と共に
オーマイリトルガール♪
歌声は遠ざかり
フェイドアウトした
多分、私の中からも。
やっと。
やっと。
やっと。


さよなら。
リトルガール。


昨日の夜から
トーストが食べたい!
トーストが食べたい!
と思っていて

今朝、起きてトースト食べて

あぁ、おなかいっぱい!
しあわせ!

と自然に口に出た、
それが、幸せ。