聖夜の誓い (Promise to you ver.) 9 | usatami♪タクミくんシリーズ二次創作小説♪

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タクミくんシリーズの二次創作です。
usatami のこうだったらいいのにな~♪を細々と綴っております(〃ω〃)
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ユキは託生との出会いに遡っていた意識を現実へと引き戻し、目の前にいる子ども、"ぎいくん"を注視した。

ーーー託生とはまた違った意味で輝く魂を持つ者。
彼の本質は"支配者"
良くも悪くも、全てにおいて。
そんな彼の傍に託生が居ることの意味はーーー

これが偶然で有り得るのだろうか。
それとも必然、あるいは運命とでも言うのだろうか・・・。
惹かれ合う二つの魂を引き離すことは出来ない。
何よりも託生が"ぎいくん"の傍に在ることを望んでいるのだからーーー

託生を連れ去ろうとしたあの時。
直前に、ユキはチャンスを与えた。
入念に張り巡らせた力に、ほんの少しの綻びを作った。
それは微々たるものだった。
本当なら何事も起こらないはずの。

だが、それは起こった。
自らの危険もかえりみず、文字通りの命懸けで託生を迎えにきた"ぎいくん"。
有り得ない事態に、そして彼の魂の輝きに、ユキは全てを悟ったのだ。
焦がれてきた魂を傍に置くことは出来ない、と。



「君に忠告を授けよう。」
長い睨み合いの末、苦く溜め息を吐いたユキが口を開いた。

ユキの話から、ヤツが何故託生に執着しているのかは理解した。
しかし、どうやら託生を連れ去ることは諦めたらしい・・・?
言葉の端々から、何よりもユキの哀しげな様子からそう感じ取るも、まだ決定とは言えない。
太刀打ち出来ない力を持つこの"雪の精"とやらに隙を見せない様、オレは慎重に頷いた。

そんなオレを見て、ユキも小さく頷く。
まるで"それでいいんだ"とでも言うように。

「まずは託生のこと。先にも言ったように、託生には類い稀な魂の輝きが秘められている。それは見る者が見ればわかることだろう。」
ユキの言葉にオレは深く頷いた。

ユキはヒトではない。
それだからこそすぐに託生の存在を見抜いたのだろうが。
ヒトであるオレにだってわかる。
託生がとても希有な存在なのだと。
ずっと前から、それこそ出会ってすぐからわかっていた。

オレの目を真っ直ぐ見てユキが続ける。
まるで試すように。
「その輝きはヒトを惹き付けるだろう。もしかしたらヒト以外にも・・・今回の僕のように。」
ユキの視線が鋭く刺さる。
「君は託生を護れるの・・・?」

突き付けられた問いは氷の刃の様に鋭くオレの喉元に迫った。
それは比喩ではなく。
ユキが目を細めてオレの中を透かし見る。
きっと少しでも躊躇があったなら、その刃は容赦なくオレを貫いただろう。

「絶対に護る・・・!」
それは容易い約束ではないと、もう、オレにはわかっていた。
ユキの様な存在も相手にしなければならないとなると、ただの人間にどれ程の事が出来るのか?

だが、オレは一瞬も迷わなかった。
理屈じゃない。
託生を誰からも何からも護りたい。
傍に居て欲しい。

一笑に付されるかと思われたオレの言葉に、ユキは氷の眼差しを俯けた。
「その想いが変わらなければ、君なら託生を護り切れるかもしれない。」
呟かれた言葉に、オレは小さく目を瞠った。
ユキがそんな風に言うなんて、思いもよらなかった。

「君についても忠告しておこう。」
俯けた視線を再びオレへと持ち上げるユキ。
その氷の眼差しを受け止めたオレに向かってゆっくりと口を開いた。

「君もまた、類い稀なる輝きを秘めた魂を持っている。託生とはまた違った意味でね。光とも闇とも成れる存在ーーーだから託生は君の傍に在る運命なのかもしれない。」