写真のフレームをそっと愛しげに撫でた託生。コトリ、ともとの棚に載せた。
横にはもうひとつの写真立て。
その中にはギイと託生、二人並んで笑顔の写真。
すっかり大人になった自分たちの姿。
―――ギイの隣で自分はこんな風に笑っているのか・・・。
この写真を撮ってくれたのは誰だったか。
祠堂の仲間たち、その誰かであることは間違いない。
ギイと祠堂のみんなの再会は、懐かしい思いを楽しめるだけのものでは決してなかったけれども。
(矢倉は殴りかかる寸前だったし、三洲なんて顔を出しもしなかったのだから。)
それでも。
過去から今までの二人を知っている彼らに、きちんと伝えたかった。
今、幸せなのだと。
色々と遠回りしてしまったけれども、もう迷わないと。
沢山の心配と迷惑を掛けた友人たちに、二人で伝えたかったから。
ギイと託生の報告を真摯に聴いてくれた友人たち。
きっとそれぞれの想いもあっただろう。
けど、受け入れてくれた。
「託生、良かったな!」って。
酷い泣き笑いで利久が言ってくれたから、もうみんな笑うしかなくなったのかもしれない。
あの時、誰かがこっそり撮ってくれた写真。
不意討ちの写真。
写真を見詰める託生の後ろからギイの腕が伸びて、その中に抱き込まれた。
甘い花のような香りに包まれる。
「・・・今度奏太に会ったら3人で撮るか。」
くらり、と目眩に似た衝撃を受けたところにギイの囁きが耳元で響いた。
「えっ、・・・いいの?」
相変わらず写真嫌いのギイ、なのだ。
意外な申し出に、にわかには喜べない。
「まあ、な。アイツも家族だからな。」
ギイの言葉に。
託生の胸の奥がじんわりと暖かくなった。
「・・・・うん。」
ギイの腕の中、よいしょ、と方向転換して、彼の胸にぽすりと顔を埋めた。
「・・・・ギイ、ありがとう。」
いつも、ありがとう。
いっぱい、ありがとう。
ギイの背中をきゅっと抱き締める。
「写真ぐらいで大袈裟だな。」
くすっ、と笑ったギイ。
吐息が託生の耳を擽る。
ちっとも大袈裟なんかじゃない。
ギイは託生にとって大切なことをひとつひとつ叶えてくれているのだから。