俺はずぶ濡れの黒猫を拾った。
On a rainy day ―――雨の日に―――
「げ、もうすぐ日付変わるじゃん。勘弁しろよな。」
トラブル続きで夕方から缶詰めだった俺。
やっと解放された。
普段なら車で通勤しているのだが。
デスクワークの反動か、今夜は歩きたい気分だった。
この偶然が俺と黒猫を出会わせることとなる。
朝から降り続いている雨の中、ぶらぶらと歩いていると大通りから脇に入った路地から微かに人の声が聞こえてくる。
何を言ってるか定かではないが。
明らかに不穏なものを感じて、気配を消してそっと覗いてみた。
狭い路地に男が二人。
一人は胸元を掴まれ壁に押し付けられている。
「だから、どう落とし前つけるかって聞いてんだよ。」
壁へと押し付けている側の男が低い声で凄みを効かせる。
「・・・そっちからぶつかってきたんだろ。」
しかし、外見的にも体制的にも不利であるはずの相手は、意外にもふてぶてしい態度で返してきた。
雨に濡れた彼の衣服は躯のラインにぴたりと張り付いていて。
華奢な体躯を浮かび上がらせる。
対峙する男の喉がごくんと上下した。
「・・・なんなら俺の相手しろや。それでチャラにしてやるよ。」
―――やれやれ。
とんだ場面に居合わせてしまった。
合意の上なら通りすぎたのに。
明らかに脅迫。
更には強姦(未遂)。
その上、カモになっている方は恐らく未成年。
仕方がないな。