First and Only Love 26 | usatami♪タクミくんシリーズ二次創作小説♪

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タクミくんシリーズの二次創作です。
usatami のこうだったらいいのにな~♪を細々と綴っております(〃ω〃)
覗いていただけてら嬉しいです(’-’*)♪

自分のありのままを受け入れて、痛みを共に分け合ってくれた大切な人たち。
彼らが傍で見ていてくれる、それだけでどれ程勇気付けられたことか。
なのにどうして・・・?
ギイも、桜井も。
今度は美琴が。
何故、自分の周りから大切な人たちが失われていくのか。
美琴の話を聞きながら、託生は悲しみに押し潰されてしまいそうになった。
・・・そんなこと、一番辛い想いをしているであろう美琴にはとても言えないけれども。

大きな運命の前に自分の力なんて及びもしない。
友人としてしてあげられることは限られている。
美琴の残された時間を、託生の出来る限りで彩りたかった。
―――もう、後悔したくない。

子どもなんて全然わからない未知の生物だったけれども。
美琴の代わりに傍で見守りたい・・・何故かそう思ってしまったのだ。


あれから月日は流れて。
もうすっかり大人びた奏太が、今、目の前に居る。
桜井に似た面差しで。
美琴に似た優しさを持って。
託生のことを真剣に見詰めている。


―――美琴と入籍して数ヶ月後。
病気の影響で美琴が入院した時のことだ。
病院の白いベッドの上、美琴がクスクスと笑った。
「なに?急に。思いだし笑い?」
「ふふ、なんでもない。」
なんでもない、と言いつつも笑いは止まらない。
「・・・・気になるなぁ。なに?」
再びの問いに彼女は瞳を細めて答えた。
「奏太がね、大きくなって葉山くんのこと好きになったら可笑しいな、って。」
突拍子もない発言に託生は目を丸くする。
「何言ってるの。そんなことあるわけない。」
もし、万が一。
そんなことになったとしたら可笑しいどころの話ではないし。
呆れた風に答える託生に、美琴はむぅ、と唇を尖らせ尚も言い募る。
「あるかもよ?何しろ私と誠くんの子どもだもん。誠くんも葉山くんのこと大好きだったし?」
そこで桜井の名前を出すのは何か違う、と思う託生であったが。
美琴の迫力に口を閉ざした。
「・・・もしも。もしもね。そうなったら、私の時みたいにきっぱり振ってやってね。」
続く美琴の言葉をはいはい、と話半分に聞いた託生だったのだが。
あの時のもしも、が、まさか現実になるとは。
思いもしなかった。



今にして思えば、この時の美琴はまるで予言者の様だ。
奏太が自分のことを好きだと言い出すなんて、タクミには考えられないことだったのに。
ただ、奏太が本気だということは彼の真剣な瞳から伝わってきた。

「・・・奏太。」
名前を呼ばれて、奏太の肩が小さく揺れた。
「話、聞いてくれてありがとう。いつかきっと奏太に伝えたいと思ってた。だから・・・伝えられて良かった。」
「・・・・うん。」

ずっと気にはなっていた本当の両親のこと。
正直、今はまだ整理が追い付かない状態の奏太だが。
話を聞けて良かった、そう思う。
自分は両親からも、そして託生からも、確かに愛されていた。
それがひしひしと伝わってきたから。

―――それにしても。
「とうさんって、本当にお人好しだよな。」
つい、言ってしまう。
「えぇっ、お人好し・・・かな?」
「だって。いくら大切な友だちとはいえ子どもを育てるとか普通しないだろ。」
結婚歴もなく、男一人で、である。
大変なことくらい誰でも想像がつく。
しかも美琴の闘病も支えつつ、なのだから。
お人好し意外に表現のし様がない奏太だ。

「・・・・けどさ。ありがとう。」
面と向かって"育ててくれてありがとう"なんて。
照れくさ過ぎて言えないけれども。
託生が"とうさん"で良かった。
優しさも思い遣りも、誰かを好きになる気持ちも。
全部教えてくれたから。

だから。
言っておきたかった。
好きだって。
伝えずには居られなかった。