First and Only Love 12 | usatami♪タクミくんシリーズ二次創作小説♪

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タクミくんシリーズの二次創作です。
usatami のこうだったらいいのにな~♪を細々と綴っております(〃ω〃)
覗いていただけてら嬉しいです(’-’*)♪

「・・・ったく、なんで水族館なんだよ?!」
日曜日の昼過ぎ。
都内のファミリーお出掛けスポットの定番だけあって、家族連れで賑わう水族館。
その巨大な水槽の前で奏太がぼやいた。

「えっ?だって・・・奏太、好きでしょ?」
確かに子供の頃、奏太は水族館が大好きだった。
ここにも託生に連れられてよく来たものだ。

―――だけど。
デートにはちょっとムードが足りないんじゃないか?!
せっかくのデート(奏太の中ではこれはデートなのだ。)、もっと恋人っぽく過ごせる場所だったらいいのに。
そう思ってしまう奏太だが、本当は肝心なところに気付いていた。
場所なんて関係ない。
問題は心持ちなのだと。

奏太のことをあくまでも息子としか認識していない託生だから。
例えここがムード満点のデートスポットだったとしても、やはり今と同じ、変わらない扱いなのだろう。

―――なんだよ。
子ども扱いして。

唇を尖らせてしまう奏太に気付くことなく、託生は水槽に張り付いている。
「わ~。奏太、見て!ペンギン、可愛いねぇ。わっ、泳ぐの速っ!」
キラキラ輝く瞳に、奏太の口元がふっと緩む。
―――まったく。
どっちが子どもなんだか。
思い描いたデートとは違ったけど、まぁいっか。
託生の屈託のない笑顔に、奏太は表情を和らげた。


「――――――あれ?もしかして、葉山くん?!」
「「えっ?」」
突然名前を呼ばれて二人同時に振り返る。
そこにいたのは奏太のクラスメートの女の子たち。
「わっ、やっぱり。凄い偶然~。」
「お休みの日に会えちゃうなんて、嬉しいっ。
きゃっ、きゃっ、と。
盛り上がる女子たちに奏太は辟易する。

―――あぁ、面倒なのに捕まってしまった。

密かに嘆いた奏太に女子の一人が問い掛けた。
「ね、葉山くん。その人、もしかして・・・お兄さん?」
瞳を輝かせてのその質問に反比例して奏太のテンションは一気に下がる。
「いや、親。」
奏太にしたら反抗心しか持てないその事実を、出来うる限り平坦に告げたのだが。
「ええっ?!若い~。絶対お兄さんで通るよ!
「ほんと、ほんと。」
「葉山くん、お父さんもイケメンなんだね~。」
女子たちの盛り上がりは凄かった。
女子高生というものに免疫のない託生はタジタジとなっている。

「ねぇ、葉山くん。せっかく会ったんだからカラオケ、一緒に行かない?」
「や~ん、いいね!ね、行こうよ~。」
「ちょ、ちょっと待てよ。」
この後の予定を勝手に組み始めた彼女たちに、奏太は慌てて言葉を割り込ませた。
「俺、行かないからな。」
折角のデート(あくまでも奏太目線である)なのだ。
邪魔しないで欲しい。
だが、彼女たちに奏太の願いは通じるはずもない。
「え~、いいじゃん!行こうよ~。あっ、良かったらお父さんも一緒にっ。」
女子たちの興味はどうやら託生にも向いてしまっているようだ。
ついでを装ってしたたかに誘ってくるその手腕は自然かつ巧妙である。

「うーん、折角誘ってくれたのに申し訳ないけど、僕は遠慮しておくよ。ほら、こんなおじさんが行っても。それに流行りの歌とかも知らないしね。」
見え透いた手口の仕掛けに、だが案の定、気付いた様子のない託生である。
言葉通り申し訳なさそうな表情で断る託生に、だが、彼女たちも簡単には諦めはしない。
「大丈夫ですよ。流行りのじゃなくても。ね、一緒に行きましょうよ~。」
尚も強く誘いつつ、なかなか頷かない託生へと腕を絡ませようとする女子に、奏太のイライラはピークに達する。
いい加減にしろよ、そう怒鳴るつもりで口を開いたとき。
一瞬速く発せられた声。

「――――――託生じゃないか?」
その声に。
驚愕の表情を浮かべて振り返る託生。
その託生の貌に奏太は堪らなく嫌な予感を覚えて、ざわざわと胸が騒いだ。