First and Only Love 6 | usatami♪タクミくんシリーズ二次創作小説♪

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タクミくんシリーズの二次創作です。
usatami のこうだったらいいのにな~♪を細々と綴っております(〃ω〃)
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「・・・・・という話をしたんだ。」

密やかに流れるジャズバラードに耳を傾けながら。
ぽつり、ぽつりとギイとの会話を語った託生。
個人的感情は極力控えて話したつもりだったけれど・・・これは場所のせいなのか。
それとも流れるピアノのメロディーが良すぎたせいか。
ギイを思い浮かべると心がじんじんとする。
滲む視界を誤魔化すように、託生はグラスを傾けた。

「ふーむ。」
託生が話し終えたあとも、しばらく腕を組んで考え込んでいた章三だったが。
「・・・しかし解せないな。いくら偶然リサイタル最終日にぶつかったからって・・・。」

Fグループの会長ともなれば多忙を極めているはずだ。
ましてや就任間もなく、なのである。
そんな世間話の為にわざわざ割けるような時間がギイにあるとはとても思えない。

更に言うなら。
託生のリサイタルと言えば発売からほぼ間を置かずにソールドアウトとなることが常なのだ。
今回も恐らくそうだったはず。
"たまたま""偶然"でチケットの手配は出来ないだろう。

だが、それは常人ならばの話である。
ギイの立場なら席のひとつやふたつ、確保することは容易いこと。

そこから導き出される結論。
それはギイは託生に会うために赴いた、という事実。
―――だが、何の為に?

「赤池くん?」
難しい貌で考え続ける章三に、託生がおずおずと呼び掛ける。
何か問題でもあるのか、と。
そんな託生に腕を組んだままチロリと視線を投げ掛けた章三だ。
大きく溜め息を吐き出して一言。
「―――僕に話していないことがまだあるだろう?」
その言葉に託生は瞳をさ迷わせた。
「・・・・ほら、さっさと吐け。」
託生の様子に呆れたように付け加えられた章三のあんまりな促し。
だが、悔しいことに章三の予測は的を射ていた。

章三に話して聞かせたのは概ね正確な情報である。
ただ、最後の部分は話していなかった。
別れ際に出たギイの最後の質問とそれに付随する遣り取り。
これを話すとややこしいことになりそうで・・・。
だが見破られた以上、黙っておくことなど出来ないだろう。
託生は仕方なくその部分も話して聞かせた。

「馬鹿。なんでそこ、ちゃんと話さないんだ。」
話し終わるなり頭ごなしに叱られて、託生は思わず肩を竦めた。
「・・・・だって。・・・そこ、重要?」
「ああ、重要だとも。」
託生のおっとりとした返事に、章三はイライラと言葉を返す。
「―――ごめん。」
しょんぼりと一言謝られて。
はっ、とする。

―――そうだった。
これが葉山託生なのだ。

何事も裏表なく素直に受けとる。
誰に対してもそれは変わらない。
そしてそんな託生に誰もが癒されるのだ。
それはあのギイにも言えること。
いや、ギイこそが託生の固く閉じ込められていた資質にいち早く気付き、その殻を破って解き放たせた張本人なのだから。

ともかく。
託生の新たな証言によって、章三の脳裏にその場面が鮮やかに浮かび上がってくる。

ギイは・・・もしかしたら単に遠くから託生を眺めるだけに留めるつもりだったのかもしれない。
しかし。
託生と親しげに話すジョージの姿に、きっと心を揺さぶられたに違いない。
一体何を話しているのか・・・。
我慢できずにふたりの会話の聴こえる距離まで息を潜めて忍び寄る。
そこにジョージからのプロポーズが飛び込んできた―――と。
託生の返事を遮るかのようなタイミングで割り込まれたギイの言葉が章三の推理を裏付けているかのように感じられた。

それにしても―――。
今度は別の意味で溜め息を吐く。
「また、か?」
章三の主語の抜けた問いに、託生は気不味げに肩を竦めた。