First and Only Love 4 | usatami♪タクミくんシリーズ二次創作小説♪

usatami♪タクミくんシリーズ二次創作小説♪

タクミくんシリーズの二次創作です。
usatami のこうだったらいいのにな~♪を細々と綴っております(〃ω〃)
覗いていただけてら嬉しいです(’-’*)♪

「なあ、向こうで何かあっただろ。」

ピアノの生演奏でのジャズが流れる、落ち着いた雰囲気のバー。
そのカウンター席に腰を落ち着けてしばらくした頃、章三が口を開いた。
それを受けて隣に座る託生の肩が小さく揺れる。

イギリス、ドイツ、ベルギー、オランダ、フランス。
5ヵ国をまわったツアーの最終日。
ジョージ主催のレセプションパーティーに出席した後、パリからの最終便で日本へと帰って来た。
その足で章三宅に奏太を迎えに赴いた託生である。

ベルギー王室御用達だとかいうチョコレート専門店の小箱が入った紙袋をお土産として手渡す。
「うわぁ。葉山さん、いつもありがとう。」
このチョコレートが大好きな奈美子は、ぱあっと瞳を輝かせて受け取ってくれた。
「いいえ、こちらこそ。いつも奏太をありがとう。迷惑かけなかった?」
「やだ、葉山さんたら。奏太くん、いい子だもん。お手伝いもしてくれるし。小春の相手もしてくれるし。とっても助かってるのよ?」

小春は章三夫妻の一人娘である。
奏太のことを"お兄ちゃん"と呼んで、とても懐いてくれている。
まだ4歳になったばかり。
"おおきくなったらかなたくんとけっこんするの。"
なんて言ってくれている。
小春の女の子らしい発言は微笑ましいのだが。
奏太が慕われて嬉しいのと、和やかな笑顔に青筋が浮かんでいる章三のオーラが怖いのとで、託生としては複雑なところだ。

小春が産まれたときから知っている奏太である。
小春を妹のように思っているのだろう。
仕事の関係で一人にしてしまうことの多い託生にとって小春の存在は有り難かった。

「そっか。なら、良かった。」
託生は奈美子の言葉にほっと胸を撫で下ろした。



奈美子の手料理での夕食をご馳走になった後、奏太と家路につこうとした託生。
そこで章三に飲みに誘われて、今、こうしてピアノのジャジーな旋律を聴きながらグラスを傾けているのである。

章三の確信的な物言いに、託生は誤魔化すことは諦めた。
いや、そもそも。
誤魔化すことなど出来はしないだろう。

それでも。
いざ、話そうと思ってもなかなか口が開かない。
何から話せばいいのかわからないのだ。
託生は目の前のグラスを掌に包み込んで傾ける。
カツン。
グラスの中で氷が音を立ててぶつかった。

「・・・・・・・・ギイに会ったんだ。」
ようやく口を開いた託生。
だが、その言葉に章三は平常心では対応できなかった。
「はあ?!ヤツが葉山のところに?なんで・・・っ、」
章三らしくもなく声を荒げかけて、慌ててトーンを落とす。
章三の気持ちもわからなくはない。
託生だって同じ気持ちだったのだ。
何で今更・・・。
そんな思いに支配された。

「で、ヤツは?何か言われたんだろ?」
章三の期待の込もった瞳の色に、申し訳なくも託生は首を振った。
「特に何も。」
「わざわざ会いに来てか?そんな訳ないだろ。」
確かにそうなんだけど。
でも、それが事実なのだから。
「本当に。」
章三をがっかりさせるのは心苦しいけれども、それが真実なのだ。

「ふーむ。」
章三は腕を組んで考えを巡らせている様子でいたが、少しして託生に向かって言い放った。
「よし、何を話したか僕に話してみろ。」
―――葉山じゃあ、重要なポイントを見落としているかもしれん。

最後に付け足された独り言は残念ながら託生の耳にも届いていた。

―――ムッ。
聴こえてるよ、赤池くん。

だが、ここでムキになっても無駄だろう。
軽くあしらわれてしまうのが関の山だ。
そう学習出来てしまうくらいには章三との付き合いも長くなった。
託生は小さく溜め息を吐いて、ギイとの"再会"を、話し出した。