泉の喜ばしいニュースが一段落したところで。
託生がおずおずと口にした言葉。
「いいけど。珍しいな。葉山が僕に聞きたいことだなんて。」
不思議に思う泉の目の前。
ちらり、とギイへと視線を向けた託生に、ピンときた。
これは恋ばなに違いない、と。
なるほどね、と。
「じゃあ、葉山。あっちの席行こう。」
泉が指し示したのは今、座っている席の対角線上、やはり端の席。
言うと同時に立ち上がって歩き出した泉を、慌てて託生が追おうとして。
「ちょ、ちょっと待て、高林。何でここじゃダメなんだよ?」
ギイが押し留める。
そんなギイに、まったく・・・、と息を吐いて。
「あのね、ギイ?恋の相談を本人の前で出来ないだろ?」
更には
「ギイってそういうところ、残念だよな。」
なんてザクリと一言。
容赦がない。
「じゃ、行こう。」
そして託生の手を取るとぐいぐいと引っ張っていってしまった。
「・・・確かに。そういうところは残念だな。」
章三のだめ押しの同意に。
「残念でも何でもいいんだよっ。」
ギイにとっては託生以外の誰に何と思われてもどうともないこと。
ただ、一つ心配なのは。
「・・・・・・・・・なあ、託生も残念って思ってるかな?」
ぼそっと呟かれたギイの一言に。
やっぱり残念だな、とは流石に止めを刺すようで。
武士の情けだ、言わないでおいてやるか。
代わりに。
「葉山だからな。思ってもないだろ。」
「だよな~。」
事実を述べた章三に、ほっと息を吐いたギイだった。
向こうでそんな話になっているとは露知らず。
託生は席につくなり、早速、訊きたかったことを泉にぶつけた。
「・・・・・・・・・ドキドキが止まらなくて、苦しくて、困ってるんだけど。高林くんはどうかな、って。」
吉沢に熱烈な片思い中だった泉に、こんな質問は流石に出来なくて。
でも、めでたく付き合うことになった今、是非、訊いてみたい。
付き合い始めということで、泉と自分は似た立場なのではないだろうか。
もしかして何か参考になるかも。
託生の問いをぽかん、と聞いて。
あははっ、
泉は笑い出した。
「ははっ、葉山ってば、何言ってるの。だから良いんでしょ?」
「えっ、でもっ。ドキドキし過ぎて、僕もう心臓が・・・っ、」
「バカだなぁ。それだけギイのことが好きって証拠だろ?」
あわあわと言い募る託生の耳元に唇を寄せて言われた言葉に。
「・・・えっ?」
驚いて聞き返す。
至近距離で見詰めた泉の瞳はとても綺麗で、つい惹き込まれる。
「・・・好きの・・証拠・・・・?」
「そう。好きだからドキドキするの。葉山だけじゃないよ。僕も吉沢にすっごくドキドキするから。そのドキドキも楽しまなくちゃ。」
「・・・・そうなの?」
「そうなの!」