それらすべて愛しき日々。 37 | usatami♪タクミくんシリーズ二次創作小説♪

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タクミくんシリーズの二次創作です。
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目前で俺を射抜く鋭い視線を真っ直ぐに見返して。
言い訳などしない。
もう逃げない。
俺の真実を貫く、ただそれだけのことなのだ。

「俺には葉山託生が必要なんだ。俺が俺で在るために。」
失えば俺は形だけのただの脱け殻になってしまう。
それほどまでに託生は俺の全部なんだ。

「・・・それで?」
巨大グループを纏める男の冷静に返す言葉に、昔の俺ならば圧されていたかもしれない。
尊敬する偉大な父親。
それ故の畏怖。
だがしかし、俺には絶対に守りたいものができたから。
―――負けられない。

「!!」
滅多なことでは動じない親父の、息を呑む気配を頭上に感じながら。
俺は額を床へ擦り付ける。
「託生とのこと、許してほしい。」
両手両膝を地につけたままの俺に、ごく僅かな沈黙の後に今度はふっ、と揶揄を含んだ笑い。
「おまえの人生で、まさか土下座をすることがあるとはな・・・。それほど彼が大事ということなのだろうが・・・駄目だ、と言ったら?」
試すような響きの声。
いや、試されているのだ。
俺の本気を。

―――絶対に退かない。
決意を固めろ。

上体を起こして姿勢を正して。
決して視線を逸らすな。

「駄目だと言うなら・・・俺は崎家を捨てる。」

本当は、最初からそのつもりだった。
カードの収集もその為のもの。
未練などない。
俺の望みは託生を守り、共に生きることなのだから。

だが。
焦がれ続けたあの深い色の瞳と視線が交わった瞬間。
俺は唐突に理解した。
俺の進もうとしている道は託生の望むそれとは違うのだと。
託生と生きる未来のために今の俺の全てを棄てることに躊躇いはないが。
そうなった時に、果たして託生は俺の手を取ってくれるのだろうか・・・?
辛く悲しい過去を持つからこそ、優しい彼のことだ。
きっと素直に喜べないだろう。
出来るならば。
誰よりも幸せにしたい人の笑顔を曇らせたくはない。


「・・・・そうか。」
長い沈黙のあと、呟かれた独白に次いで、くっくっくっと肩を揺らせる親父。
「・・・・何が可笑しいんだよ。」
こっちは真剣この上ないんだ。
つい不穏気な声が口をついてしまっても仕方ないだろう。
「いや、別に馬鹿にしてる訳じゃない。ただ・・・。」
言いかけて言葉を止める。
「ただ、何だよ?」
気になるだろ、と続きを促せば。
「いや。例の契約は終了だ。先程オリヴィア嬢から連絡がきた。問題は解決したと。
「何だよ、それ。」
親父の見え透いた嘘に抗議の声を上げる俺を視線と軽く上げた手で制して。
「そういうことにしておけ。彼女の為にな。」

彼女の事情と守りたいものについて聞かされた今、そう言われるとこれ以上の追及は避けるべきか。
このセリフから鑑みるに親父は彼女の望みを叶える気でいるらしい。
もしも情報リークの疑いで無効となったら、と多少心配ではあったのだ。
その場合は俺の出来る限りは尽力しようとは思っていたが。
最悪家を出ることになった場合、手持ちのネットワークも無効化されるだろう。
収集してきたカードも、これに関しては役に立たないだろうし。
ほぼ無力となってしまう俺が現時点でしてやれることは限られてしまう。
親父がやる気なら渡りに船なのだ。
だが、意外だった。

「言っただろ?ちょっとした改革で業績向上が見込める、と。」
あのニセ契約の際のセリフを今一度口にして、ニヤリと笑う親父。
ああ、そう。
そこは本当だったのか。

「約束通り、おまえは自由だ。」