「託生ー。ちょっとコンビニ行ってくる。」
ギイの急な言葉はいつも通りだけど。
「こんな時間に?」
もう夜の11時前だよ。
「いや~、なんか急にアイス食いたくなった。」
僕の怪訝そうな顔を見て捕捉説明してくれたけど。
あんまり聞きたくなかったかも。
だって。
「・・・寒いよ?」
「ばか。寒いからいいんだろ?コタツで食うアイス、最高だよな!」
ごめんね、ギイ。
僕、それはわかってあげられないよ・・・。
「託生も一緒に行くか?」
想像だけで寒くなってコタツの中へとしっかりと入り込んだ僕に笑いながら言ってくるギイ。
とんでもない!!
と首を振りかけて・・・。
「・・・うん、行く。」
僕の応えにギイは目をまるくして。
「マジで?」
寒がり託生がどういう風の吹き回しだよ、とからかってくる。
僕は、
「別に。」
って答えたけど。
ギイと外を歩くのもいいかもな、なんて。
ちょっとそこのコンビニまでだけど、ね。
けど、いざ外に出て。
僕はたっぷり後悔した。
だって寒い。
とにかく寒い。
ダウンに毛糸の帽子、マフラー、手袋、と完全防備の僕だけど。
それでもあまりの寒さに震えてしまう。
「大袈裟だろ。」
その横でスッキリとしたシルエットのカシミアのコートにいつか僕が贈ったマフラーのみという、軽やかな姿のギイがクスクスと笑ってる。
カシミアって暖かいけど、でも!
ダウンの方がもっと暖かいはずだよね?
なんで?!
「ギイの格好見てるだけで寒そうなんだよ。」
僕はその理不尽さについ、唇をとがらせてしまった。
そんな僕に、ふっと微笑したギイ。
「託生はモコモコで可愛いよ。」
見惚れてたら掠めるようにキスされて。
僕は慌てて周りを見回した。
チラチラと雪の舞い始めた夜の道。
人影どころか車も何も見えなくて。
静かな静寂に二人きり。
「な?誰もいないだろ?」
だから、さ。
もう一度・・・。
そう言って再び降りてきたギイの唇に、僕も瞳を閉じて応えた。
帰り道は、僕の手袋のかたっぽをギイに取られて。
「寒いのやだよ。」
って、僕が文句言ったら。
僕の左手はギイのコートのポケットへと攫われた。
これで寒くないだろ?って。
ぎゅっと握ってくれるギイの掌の温もりがとてもあたたかくて。
とても安心できて。
「ギイ、好きだよ。」
つい、口をついて出てしまった僕の本音。
ギイは艶やかに微笑んで。
「俺は愛してるよ。」
そう言ってくれる。
それはとても幸せだ。
だけど・・・。
すっと僕に身を寄せて、
「せっかくの託生からのお誘いだからな。俺、頑張るな。」
―――何を?
「コタツアイスと託生と・・・。どっちを先に食べるか。これは非常に難しい難題だな。」
なんて、眉間にシワを寄せてぶつぶつと呟くギイ。
―――なんでそうなるの?
「アイスにしときなよ。僕はお風呂に入るからさ。」
だって寒くて仕方ないよ。
お風呂で温まらなくちゃ、冗談でなく凍死しちゃう。
生命維持を優先して帰宅後の段取りをする僕の横で、キランと妖しく光ったギイの瞳を見逃してしまった僕は。
お風呂の途中で乱入してきたギイに結局、美味しく戴かれてしまったのだった。