月と桜と君と僕。 2 | usatami♪タクミくんシリーズ二次創作小説♪

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タクミくんシリーズの二次創作です。
usatami のこうだったらいいのにな~♪を細々と綴っております(〃ω〃)
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「託生っ。温泉行こうぜ!」
「へっ?」

金曜の夜。
僕の部屋のドアを開けて入ってくるなり『ただいま。』も言わず、いきなり提案してきたギイ。
僕も『おかえりなさい。』を忘れてきょとんとしてしまった。
だって。
「いつ行くの?」
「明日!」

とんでもなく上機嫌なギイだけど。
そんなに急に?!
なんの用意もしてないし、それにバイオリン。
一日でも弾けないのは困る。

なんて僕の事情を言う前に、僕の眉間に寄ってしまったらしいシワを指先で擦りながらギイが先回りしてくる。
「泊まりだけど。そこ、旅館の離れだから。バイオリンOKだし。それにそこさ、今、すっげえ見頃なんだよ。絶対に見といた方がいいぞ。」

ん?
「見頃って?」
「んー?まあ、今の時期見頃って言えば当然・・・・・。まあ、いいや。それは見てのお楽しみ、ってことで。明日、島岡に迎えに来てもらうことになってるからさ。準備しとこうぜ。」
僕の返事も待たずに決まってしまったらしい話に、慌てて待ったをかける。
「ちょっと、ギイ。島岡さんまで巻き込んで。それに。僕、まだ行くなんて言ってないからね。」
僕の言葉にギイの輝かんばかりの麗しの微笑みに陰が差す。
「託生、嫌なのか・・・?」
如何にもトーンダウンしたその口調はとんでもなく哀しげで。
僕はつい、狼狽えてしまう。
「や、別に嫌だなんて・・・。」
「じゃ、決まりだな!」
勢いを取り戻したギイの声。
もしかして。
「もうっ、ギイっ。また騙した!」
どうしてこんなにも毎度毎度、学習の甲斐もなく騙されてしまうのか。
僕がふててしまっても仕方がないと思う。

「託生はほんとに可愛いなぁ。俺って託生に愛されてるよな。」
なんて。
温かな胸に抱き寄せられて、蕩けるように囁かれたら。
もう、僕は諦めるしかないよね。
でも。
僕だってやられっぱなしは嫌だから。
ギイの温かな胸から大きく背伸びして。
僕を見下ろすギイの唇にちゅっ、と不意打ちのキスを一つ。
軽く目を見開いたギイの腕が僕の躯を閉じ込めてしまう寸前に、するりと腕の中から逃げ出す。

「託生ぃ。待てよ、もう一回、ちゃんと!」
「ダメだよ。明日の準備しなきゃ、でしょ?」
僕のこと、いつでも思い通りに出来ると思ったら大間違いなんだからねっ。