Another Kiss・・・? 38 | usatami♪タクミくんシリーズ二次創作小説♪

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タクミくんシリーズの二次創作です。
usatami のこうだったらいいのにな~♪を細々と綴っております(〃ω〃)
覗いていただけてら嬉しいです(’-’*)♪

静かな海の底に、一人佇む託生を見付けて。
俺は大きく息を吐き出した。
一体いつぶりかも定かではない全力疾走で、情けなくも俺の息は大きく乱れてしまっていた。
膝に手を当てて俯き、荒い息を調える。
汗が額を伝って、ポタリ、床へと落ちた。

そんな俺を大きな瞳を見開いて見詰めていた託生の唇から、
「・・・・・・ギイ。」
微かに空気を震わせて、押し出された独白。
小さな、小さなその呟きは、静寂の海中を漂って俺の耳まで届いた。

その透明な響きの美しさに、そして、俺に向かう託生の凜とした眼差しに。
俺は息を呑む。
彼は・・・託生は強いのだ。
心の在り様が、という意味で。
記憶をなくした俺がつけたであろう数多の傷を、きっと深く抱き締めて今までの道のりを歩いてきたに違いない。

こんな人を深く傷付けた、俺の罪に改めて打ちのめされる。
何故、最初に会いに行かなかったのか。
何故、話をしようとしなかったのか。
悔やんでももはや遅すぎる事がまた、頭を掠めていく。

今更、と呆れられるだろう。
もう遅いのだ、と詰られて泣かれるかもしれない。
それとも。
もう要らない、と突き放される・・・?
それでも。
やっと気付いたこの気持ちを伝えたい。
俺が作ってしまった託生、お前との距離を縮めたいんだ。

噛み締めるようにゆっくりと脚を運んで、俺は託生の目の前に立った。
お互いに手を伸ばせば触れる距離。
そこに、苦しいほどに焦がれる人がいる。
すぐにでも抱き締めたくて。
無理矢理でもなんでもいい、唇を奪ってその全てを俺のものにしたくて。
性懲りもなく伸びていこうとする指先を何とか押さえつけた。

「・・・ギイ、僕。君に訊きたい事があるんだ。」
触れたい、奪いたい。
噴き出す欲求に動けずにいた俺へ、託生の真っ直ぐな声が届いた。
そこには何かの覚悟を秘めたような強さが潜められていて。
その響きは俺の心臓を殴り付けていく。

「・・・・・・君は・・どうして、」
「待った。」
託生の、だが、躊躇いがちに紡がれていく質問を、俺は慌てて留めた。
「待ってくれ。その質問の前に。・・・先に言わせて欲しいことがあるんだ。」
びっくり眼で俺を見上げてくる託生。
こんなときなのに、可愛すぎて。
ああ、こんな彼の貌もどこか見覚えがあるように感じてくる。
俺の中から次々と溢れてくる彼への懐かしさ、それ以上に感じる愛おしさ。
今、はっきりと言える。
やっと辿り着けた俺の真実。

「オレは、葉山託生を、愛してます。」
そう、こんなにも。
苦しくて、切なくて。
こんな想い・・・お前だけだ。
お前だけを愛してるって、お前だけは知っておいて欲しいから。