Another Kiss・・・? 14 | usatami♪タクミくんシリーズ二次創作小説♪

usatami♪タクミくんシリーズ二次創作小説♪

タクミくんシリーズの二次創作です。
usatami のこうだったらいいのにな~♪を細々と綴っております(〃ω〃)
覗いていただけてら嬉しいです(’-’*)♪

僕の逃げ道を塞いで。
ギイは満面の笑みを浮かべる。
祠堂の頃よりも男らしさの増した美貌に浮かぶそれは、あの頃と変わらず見惚れる程に麗しいのに。
どうしてもギイだと思えないのは、麗しい表情とは裏腹にちっとも微笑ってなんかない冷たい瞳のせい?

「・・・おいで。」
そう囁かれて。
僕の逃げ道はとっくに塞がれたというのに、躊躇ってしまう。
僕の躯が、何よりも心が。
目の前のギイを受け入れることに恐怖を感じる。
――だって。
なんで僕なの?
どうして今更?
訊くことの出来ない問い掛けが僕の心の中で渦巻いているんだ。

相変わらず動けない僕の腰へと廻されたギイの腕。
ギイは僕を力強く自分へと引き寄せると、部屋の奥まで連れて行った。


ドサリ、と音を立てて大きなベッドへと沈み込んだ僕。
その上から覆い被さるように躯を乗せてくるギイ。
その重みが僕を更に苦しくさせる。

「や、やっぱり。止めましょう。こんな・・会ってすぐなんて・・。」
僕の弱々しい声に、フッと微笑うギイ。
それは壮絶に綺麗だけどやっぱり冷たくて、そして何処か苦しそうで。
「・・・そんなこと言って。やっぱり焦らしてる?・・・そうやって、一体何人の男と寝たんだ?」
浴びせられた言葉はとても酷いものなのに。
それを発したギイ自身がナイフで切りつけられたかのように痛い貌をしていて。
僕は益々訳がわからなくなる。

だけど、君に不本意な誤解をされたままなんて嫌だから。
「僕はそんなこと、今までに一度だってしたことはない。」
ギイの冷たい瞳に、逸らしてしまいたくなる僕の瞳を無理矢理に押さえ付けて。
ギイを見据えて、はっきりと伝えた。

絡まる視線。
―――先に逸らしたのはギイだった。
躯に掛かる体重はそのままに、僕の左手をギイの大きな掌が包み込む。
その指先が存在を確かめるかのようにあのリングをなぞって。
「・・・じゃあ、これは?・・・きかせて、誰に貰ったの?」
眉を寄せて切なげな貌で訊いてくるから、勘違いしてしまいそうになるじゃないか。
ギイが僕のことを好きなんじゃないか、って。
この指輪に嫉妬してるんじゃないか、って。
そんなこと・・あるはずないのに。

僕はギイから瞳を逸らしてしまった。
なんて答えよう?
なんて答えるのが正解?

「はやく、教えて・・・。」
答えを探して言葉を失った僕の耳元に唇を寄せて、ギイがたっぷりと甘さを含ませた声で囁いてくる。
その声にぞくり、となるけど。
でも、僕は知ってるから。
ギイの本当の甘い囁きを。
僕を、僕だけを愛して、暗闇から救い出してくれたギイ。
そんな彼の、僕への想いを込めた甘い囁きを、僕は知ってるから。

「これは・・・とても大切な人に。」
嘘を吐いた罪悪感から顔を上げられない。
「大切な人って、誰?・・・もしかして、あのピアニスト?」
そんな僕の耳を緩く噛みながら更に訊いてくるギイに、僕の躯は反応してしまう。
「ふっ、ち、違・・っ。」
洩れてしまいそうな喘ぎを唇を噛み締めて堪えて。
でも、心臓はバクバクと激しく跳ねる。

城縞くんには確かに好きだって言われた。
でも、僕はきちんと断っていて。
それでも待つと言われて、拒絶することなんて出来なくて。
結局、城縞くんの好意のお蔭で演奏のペアも続いていて。
そんな諸々の事情が、僕を後ろめたくさせた。