仄かな温もりを遺して離れたギイの躯。
空いた距離に少し寂しくなる。
と、そこへ。
ギイのスマホに着信が入った。
ディスプレイの表示を確認したギイは形の良い眉をヒョイ、と片方だけ上げながらラインを繋ぐ。
「はい、俺。どうした?」
一連の仕草がさりげないのにとても優雅で。
いつもの事ながら、託生はギイに見惚れてしまう。
―――やっぱりギイはカッコいいなぁ。
なんて一人、顔を赤くしていた託生だったが。
「・・・なんだと?それで、被害は?」
ギイの緊迫した声にはっとする。
・・・被害って、何?
何の話をしているのだろう?
仕事の、話しかもしれない。
そう考えながらもどこか直感的な部分でそうではない、と感じる。
もしかして・・・佐智さんに・・!
「ギイ・・っ。」
通話を終えたギイに問い掛けるように呼び掛けてくる託生。
心細げな様子に、すぐにも抱き締めてやりたくなるが。
「悪い、託生。ちょっとだけ待ってて。」
言うとギイは部屋の中を丹念に見回り始めた。
「・・・ギイ?何か探し物?」
「ああ。ちょっと、な。」
歯切れの悪いギイの答えに首を傾げるしか出来ない。
そこへ。
―――コン、コン、コン
響くノックの音。
「入れ。」
応じて扉を開けようとした託生を制して、ギイの鷹揚な応えに。
扉は開かれた。