君と一緒に♪7-1 | usatami♪タクミくんシリーズ二次創作小説♪

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タクミくんシリーズの二次創作です。
usatami のこうだったらいいのにな~♪を細々と綴っております(〃ω〃)
覗いていただけてら嬉しいです(’-’*)♪

金曜日、午前9時45分。
桜ノ宮坂音楽大学、バイオリン科、井上佐智教授室の来客用ソファにて、葉山託生は居眠りの真っ最中であった。
出勤後いつもの様に一通りの仕事を済ませ、大学側から借り受けている練習室の鍵を手に部屋を出ようとしたところを、とんでもない睡魔の波に襲われた結果である。

ゆらゆらと揺らめく浅い眠りの波間でうっすらと考える。
あぁ、起きなくちゃ。
・・・でも、もうちょっとだけ・・・。

一週間の疲れのピークが来る金曜日。
ましてや昨日の夜、あまり眠れてないのだ。
眠くなって当然なのだった。
しばらくそうして浅い眠りを漂っていた託生だったが、ふいに聴こえてきたドアをノックする音にびくり、と意識が覚醒する。

今日は来客の予定は無かったと記憶している。
事務からの報せも無かった事から門下生の誰かかもしれない、と考えながらドアを開けるとそこには、穏やかな微笑を湛えた城縞恭尋が佇んでいた。
相も変わらず貴公子然とした容貌に近寄り難いオーラをまとわりつかせている。
城縞とは知り合ってかれこれ七年になるが、いつも会う度にその貴公子ぶりに圧倒されるのだった。

「こんにちは、葉山くん。少しお邪魔してもいいかな?」
「こんにちは、城縞くん。勿論どうぞ。」
言い合った後、目を合わせてどちらからともなく笑い出す。
くすくす笑いが収まる頃には、城縞は教授室のソファに通されていた。

「城縞くん、コーヒー飲む?」
「うん、いただきます。」
託生はコーヒーを淹れながら城縞に問い掛ける。
「久しぶりだよね。すごく忙しくしてるんじゃない?」

城縞は在学中に、今回託生が出場することになっているコンクールのピアノ部門で一位を取り、華々しくデビューしていた。
このコンクールの知名度は流石に高く、そのネームバリューと城縞の確かな技術に加えて、貴公子然とした容姿も耳目を集め、現在若手ピアニストの中では一番の注目株なのだ。
桜ノ宮坂を卒業後しばらくは、事ある毎に大学を訪れていた城縞だが、今日の訪問は久しぶりのものであった。

「うん、まぁ程々にはね。やっぱりヨーロッパ方面での演奏会が多いから、なかなか日本まで帰って来れなくてね。」
「じゃあ、今日は貴重な一日なんだね。でも残念だなぁ。今日は井上教授は留守なんだよ。あれ?確か京古野教授も今日はおられないんじゃなかったかな?」
コーヒーを手渡しながら自信無さげに言う。

京古野耀も佐智と同じく有名な演奏家である為、やはり多忙であり、大学にいることは少ない。
城縞は京古野の門下生である。

二人は入学後間もなく、それぞれの担当教授からコンビを組むよう勅命を受けた。
それは在学中四年間続き、今現在もこうして城縞が訪れた際には時間さえあれば二人で弾く、という関係は続いている。