信濃毎日新聞より

http://www.shinmai.co.jp/news/20110516/KT110514ETI090006000022.htm


東日本大震災の被災地で、大量の犬と猫が保護されている。

地震や大津波で、飼い主とはぐれたペットとみられる。

避難する際置き去りにせざるをえなかった人も少なくない。
少子高齢化と核家族化が進むなか、多くの家庭でペットはかけがえのない家族となっている。

被災地では、復興への道のりを歩む人々の心の支えとなるだろう。
宮城、福島、岩手の3県の保健所の多くが、保護した犬と猫の殺処分を見合わせている。

震災をくぐり抜け、生かされた命である。

行政だけでなく動物愛護団体などの知恵を集めて、飼い主のもとへ戻したり新たな飼い主を探す取り組みを進めてもらいたい。
まずは預かる場所を確保することだ。

宮城県では保健所で収容しきれず、県動物愛護センターなどで保護している。
県獣医師会の有志が、石巻市に犬や猫を保護するシェルターを設けた。

迷子のペットだけでなく、避難所にペットを連れて行けない人からも預かっている。

きめ細かさが光る。生活再建のめどが立つまで、地域のなかで預かる仕組みをつくれるといい。
避難先の自治体も配慮が要る。

京都市の取り組みが参考になる。

市内に避難している被災者のために、ペットを一時的に預かってくれる住民や事業者を募っている。
保護された犬と猫の情報提供がカギになる。

富士通がネットワークサービスを無料で提供し、被災したペットの情報を管理する試みを始めている。

消息を求めている飼い主に、確実に情報が届くよう工夫してほしい。
もう一つ。震災をきっかけに、ペットの命について考える機会を持ちたい。
日本では毎年、犬や猫が大量に殺処分されている。

2009年度でおよそ23万匹。

捨てられたペットや、飼い主が処分に困って保健所に持ち込んだものだ。

飼い主や新たなもらい手が見つからなければ、いずれはガスや薬物注射で殺されることになる。
人間の側の都合でペットの命が奪われる事例を少しでも減らしたい。

各地の自治体は、引き取った犬や猫の写真をホームぺージに載せ、もらい手を募る取り組みに力を入れている。

それでも、捨てられる数に追いつかない。
この震災で主を亡くしたペットも多い。

新たに犬や猫を飼おうと思う人は、保健所や動物愛護センターから譲り受けることを考えてもらえないか。

これも大事なボランティアの一つである。