私は小学生の時、写生(風景画)の授業が好きだった。
ちょうどその写生の授業のタイミングで右手を骨折してしまって、授業中に描き上げられなくて家に持って帰って左手で色を塗った。
その時、毎日遅くまで色を塗ってる私を見て、母が「色塗りが上手なんだけど、すごくこだわってずっと色を作ってる」と驚いた様子で父に言った。
私は「だって何で本物と違う色を塗るのか分からないから」と言った。
めっちゃ嫌なやつって感じの言葉だけど、当時は本当にどうして紫を赤で塗る人がいるのか、不思議だった。
中学生になって絵をたくさん描いていると、そういう紫を赤で塗るような、少し雑みたいな描き方をする人がかっこいいと思って雑に見せて描くようになった。
やっぱり今も、雑に見える絵の方が魅力を感じる。
雑も丁寧もどっちも良いからそれとは別の話で、
私の繊細さは私のディティールだと今は思う。
細かい色の違いに気づく繊細さが、私の絵のディティール。
それはきっと日常の中の他人への繊細さでも同じなんだろう。
繊細だから持ってる宝物がきっと自分の中にある。
傷つかず、気にせず、毎日を生きてる人に強烈に憧れるけど、繊細だから持ってる宝物が自分にはある。
絵は単なる例えで、他も同じこと。
気になってしまうところにきっと宝物がある。
見えてしまうもの、傷ついた事、気になってしまうもの、それがあなたのディティールで、贈り物だ。