新しいKindle本を出版しました。
今回の舞台は――アメリカです。
タイトルは、
『なぜ、アメリカの怪異は説明できないのか?』
悪魔・魔女・呪われた家――映画と旅から読み解くアメリカの恐怖
です。
アメリカのホテルで一度だけ体験した、不思議な出来事
私は霊感がありません。
これまでアメリカ本土では、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコなどを旅しました。
ハワイやグアムにも何度も行っています。
でも、心霊体験らしい心霊体験はほとんどありません。
怖い思いをしたこともほぼありません。
ただ、一度だけ。
ニューヨークのホテルに泊まった夜、壁の向こうから何度も、
コン、コン……。
壁を叩くような音が聞こえてきました。
「隣の人、うるさいなぁ」
そう思いました。
フロントに苦情を言おうかとも考えました。
でも、もし隣の宿泊客が変な人で、苦情を言ったことが分かったら怖い。
結局、我慢してそのまま一晩を過ごしました。
翌朝、普通にチェックアウト。
ホテルを出てから、ふと思い出しました。
あれ?
私が泊まっていたの、角部屋だったよね?
ということは……。
音がしていた側には、部屋がなかったような……。
では、あの音は何だったのでしょう?
今でも分かりません。
日本の怪談とアメリカのホラーって、何か違う
以前から私は、アメリカのホラー映画を観ていて不思議に感じることがありました。
日本の怪談には、
「恨み」
「未練」
「復讐」
「供養されていない死者」
など、幽霊になった理由が比較的分かりやすい話が多いように感じます。
ところがアメリカでは、
悪魔。
魔女。
呪われた家。
説明できない超自然的な存在。
「なぜ、そんなものが現れるの?」
と思うような恐怖が出てきます。
私は『悪魔のいけにえ』『シャイニング』『13日の金曜日』『シックス・センス』などの映画が好きです。
『オーメン』や『エクソシスト』のような作品にも、いかにもアメリカ的な「説明しきれない恐怖」を感じていました。
そこで今回、
「アメリカ人はいったい、何を怖がっているんだろう?」
という疑問から調べ始めました。
セイラム魔女裁判からホラー映画まで
本書では、
セイラム魔女裁判、
キリスト教と悪魔、
魔女、
呪われた家やホテル、
アメリカンホラー映画、
ハワイの伝承、
グアムの祖先観、
などをたどっています。
単に「怖い話」を集めた本ではありません。
なぜ、その怪異が生まれたのか?
なぜ、その土地で語り継がれているのか?
というところまで掘り下げています。
調べていくうちに分かったのは、
アメリカの怪異が説明できないのではなく、一つの説明では足りない
ということでした。
宗教だけでは説明できない。
歴史だけでも説明できない。
映画だけでも説明できない。
そして「アメリカ」と一言でまとめることさえ難しい。
ハワイやグアムへ行けば、そこにはアメリカ本土とは異なる歴史や文化、伝承があります。
怪異を調べていたはずなのに、いつの間にかアメリカという国の複雑さを知る旅になっていました。
そして、私自身のアメリカ旅行も
今回は私自身の旅の思い出もかなり入れています。
初めてのニューヨークでは、一人で地下鉄とフェリーを乗り継いで自由の女神へ。
その後、ニューヨークでイタリア系アメリカ人男性と日本人男性の二人に出会いました。
当時、私は28歳くらい。
彼らは38歳と48歳。
28歳、38歳、48歳。
ちょうど10歳ずつ違うので、
「これは運命だ!」
なんて言ってくれました。
その出会いがきっかけとなり、後には男3人でレンタカーに乗って、
サンフランシスコ → サンタモニカ → メキシコ国境の街
というロードトリップまで経験しました。
ホラー映画だったら、途中で車が故障して大変なことになりそうですが(笑)、現実の旅では何も起こりませんでした。
楽しい思い出ばかりです。
だから私は、アメリカを「怖い国」として書きたくありませんでした。
怪異を知ることで、
怖くなるのではなく、その土地が少し深く見える。
そんな本を目指しました。
「幽霊はいるのか?」ではなく
本書で知りたかったのは、
「幽霊は本当にいるのか?」
ではありません。
なぜ、人はその話を作ったのか。
なぜ、今も語り続けるのか。
その背景です。
怪異の向こう側をのぞいてみると、歴史や宗教、土地、人々の暮らしまで見えてきます。
そして最後には、再びあのニューヨークのホテルへ戻ります。
壁の向こうから聞こえた音。
配管だったのか。
空調だったのか。
建物を伝わってきた別の部屋の音だったのか。
単なる記憶違いだったのか。
それとも――。
結局、答えは出ません。
でも今は、それでいいと思っています。
「分からない」を、分からないまま残しておく。
怪異には、そんな楽しみ方もあるのかもしれません。
Kindle新刊
『なぜ、アメリカの怪異は説明できないのか?』
悪魔・魔女・呪われた家――映画と旅から読み解くアメリカの恐怖
著者:usaruth

