とある精神科病院。
浮気現場を目撃し、妻と相手を刺殺。自分が捕まれば面倒を見る人間が居なくなる。痴呆症の母も一緒に殺害。
絞首刑を執行されたが死に切れず、そのときに脊髄を痛め歩けなくなった秀丸(笑福亭鶴瓶)。
幻聴が聞こえ暴れるようになってしまった元サラリーマンのチュウさん(綾野剛)。
そんなチュウさんを慕う、話すのが不自由だけどカメラ好きな明るい青年・昭八(坂東龍汰)。
義父からの性的DVによって妊娠。心を閉ざし入院する由紀(小松菜奈)。
世間では居場所をなくしたものの、「ここ」に居場所を見付け、癒され、助け合いながら生きていく。
けれど平和な日々は長く続かず…。
入院患者たちは確かに精神などに問題を抱える人たち。
でも、娘を犯す由紀の義父・伸夫(山中崇)や行為に気付きながら実の娘を守らず「出て行け!」と罵倒する母・佳代(片岡礼子)。
普通に平凡に生きてて、周りからは良い人だと思われてて。
そんな人が抱える狂気。本当に怖いのはそっちかも。
病に立ち向かい退院して母親の面倒を見ることにしたチュウさん。
そんな彼に、「頑張り過ぎないで良いんだよ。ゆっくり、ゆっくりで良いよ。それでもダメなら帰ってらっしゃい。」
やさしく言葉を掛ける看護師長・井波(小林聡美)の眼差しに涙。
全体的に暗く悲しい物語。だからこそ少しの光が暖かく優しいです。
心が風邪をひきそうな、そんな時。見て欲しい映画です。