ここにいる誰もが黒子を必要としている。


黒子の中にある《妖姫》の力は相当なものだ。簡単に言えば《全知全能》のようなもの。


何でも出来て、何にでも使えるもの。だからこそ、使えてしまうのが恐ろしい。



「明日からは一旦練習は止め、この出来事を捜索しよう」


赤司の提案に誰もがうなずいた。




* * *



「赤司、今回のことやなくて黒子の事について説明してもらいたいんやけど」


大体のメンバーが去った食堂には、赤司、今吉、笠松がいた。


なんとも威圧感が凄い集団だ。



「テツナの事件は我々が中学生の頃です」


「・・・帝光時代か」


 笠松がそう呟くと赤司はうなずく。このころの事は詳しくは知らないがキセキにとっては


一時期の事はあまりいいものではなかったのだろう。



「今回のように帝光中学でも合宿を行いました。このような穏やかな自然のある場所で。


確かあの出来事は合宿3日目。その日は生憎の雨でした。ランニングは出来ないな、と真太郎と


話し合っている最中桃井が部屋にやってきたんです。いつもの落ち着いている様子は1ミリもなく、


そんな桃井を見て何かあった、それも並大抵の事ではないと雰囲気で分かりました」



俯き加減で話す赤司は鮮明に覚えているようだ。



「桃井が『テツナが行方不明になった』と伝えに来たんです。まだ朝で外出は禁止していた時間。


テツナに限って掟を破って外出はしないはずなんです。僕たちはあまり騒ぎを大きくしないためにも


僕と真太郎、大輝、涼太、敦の5人で捜索をしました。まぁ規模もでかい為にそう簡単には見つからないと


覚悟していたんです。捜索1日目は見つからずに宿泊先に帰って桃井に事情を聞きました。


桃井によると黒子は宿泊1日目の夜からずっとうなされていたらしいんです。


それも日に日に増していったそうです。桃井は心配になって黒子に『何かあったの?』と尋ねた。


でも黒子はいつも通りの雰囲気で『何にもないですよ』と言っていたらしいんです」