SF史上に輝く金字塔と言われるレイ・ブラッドベリの短編。
「火星年代記」 早川書房
26の短編からなる構成で読みやすい。そして面白い。
まず、地球からの探検隊が火星に到達する。
第3探検隊までは全員が哀れな最期を遂げる。
特に第2探検隊の辿る運命は、ブラックジョークのよう。
火星人の反応にいちいち納得してしまう。大体、「地球」という名称が通じるのかどうか。
ドアを叩いて訪れた人が「私は空の上に浮かぶあの星から来ました」と言い出したら・・・
誰だって疑うよそうだよ。
ただ、火星人の場合はその反応が微妙に違う。そこが面白い。けど探検隊哀れ。
そして、真相を知らない第4探検隊が火星を訪れた時には、そこは廃墟と化していた。
黒くなって死んだ火星人の死体。
原因は、地球では子どもさえ死なない誰でも一度はかかる伝染病。
過去のどれかの探検隊が持ち込んだと思われるそのウィルスで、火星人は絶滅に瀕していた。
けれどそこで火星人を救おうという話にはならない。
火星にどんどん移住してくる地球人たち。どんどん数を減らす火星人たち。
ただ坦々と、地球と火星の出来事を綴って物語りは進む。
そしてついに地球では核戦争が始まる。
気に入った話は「沈黙の町」。ちょっと笑えた。
自分だったらどうするだろう。やっぱり同じように一人でいることを選ぶだろうか。
最後の「百万年ピクニック」は、小さな希望を託しながらも物悲しい話だった。
また今度、じっくり読もうと思える小説だった。面白かった。