このところずっとテレビドラマ(春ドラマ)のことを書いてきたので、今日は井上尚弥vs中谷潤人戦にちなんで、ボクシングのことを書きます。
これまであまり書いてきませんでしたが、私はボクシングのファンです。スポーツや囲碁将棋などのあらゆる勝負ごとが好きですが、中でもボクシングは特別な競技だと思っています。通常のスポーツでは競技者の安全が重視され、「脳震盪」などを起こさないように十分な注意がなされています。にもかかわらず、ボクシングとは「あごやこめかみに打撃を加えて意識的に相手に脳震盪を起こさせる競技」という一面を持っています。なんと恐ろしい競技なのでしょうか。それだけに、そんな競技に挑戦し、そこで厳しい鍛錬をして頂点に上る選手たちに、最大限の敬意を私は持っています。この「競技としての恐ろしさと尊敬の念」というのはボクシングの一つ目のアンビバレンスです。
もう一つのアンビバレンスは、ボクシングの興行をめぐってです。恐ろしいほどの競技のストイックさとは正反対に、ボクシングの興行には不透明な部分がつきまといます。まずは、世界タイトル戦をおこなう組織が4団体もあるということ。それぞれが世界チャンピオンを立てて興行をおこなっているという、実に不思議な、およそまともな競技とはいえないことをしているのがボクシングの世界です。しかも、その体重分けは年々細分化されてきました。以前の7~8階級制は遠い昔のこと。今はそれぞれの階級に「ジュニア〇〇級」「スーパー〇〇級」などを新設して、とにかく世界チャンピオンを増やし続けています。もはや世界チャンピオンの水増し、粗製乱造もいいところです。というわけで、私はボクシング競技者には深い敬意を持っていますが、ボクシングの組織や興行のあり方には大きな疑念を持ち続けています。
さらにいえば、以前の亀田ファミリーのように、マッチメイクの不透明さ、不公正さはひどいものでした。できるだけ弱い相手だけを選んで対戦を組み、世界タイトル戦を維持し続けるという悪質な興行が横行していました。判定への信頼もまったくありませんでした。これはもうボクシングへの冒涜だと私は思っています。
それに比べると、今日これから行われる井上尚弥vs中谷潤人戦はその正反対です。強い相手と闘い、勝ってさらにまた強い相手と対戦を組む。その究極のマッチメイクが今回の対戦であり、32戦全勝同士の夢の対戦です。ファイトマネーは日本ボクシング史上最高額(しかも段違いな高額)だそうですが、それにふさわしい対戦であることは間違いありません。私はボクシングに敬意と疑念の両方を持ち続けてきましたが、今日の対戦が敬意と興奮と感動だけを残してほしいと心から願っています。
※このブログはできるだけ週1回(なるべく土曜日)の更新を心がけています。