うさこの事務所HP「つじのかわらばん」4月号掲載しました

 
本号のテーマは、
①桜はまだか
⓶預貯金債権は遺産分割の対象か
です。
 
司法書士・不動産 辻事務所
相続の相談
 

~ 桜はまだか ~

  3月末、鶴舞公園にある名古屋市公会堂に行ってきました。

 この公会堂、いよいよ4月から大改修工事に入ったのですが、改修工事前に、名古屋市公会堂の軌跡を振り返ろうと、「名古屋市公会堂とロック・コンサートの半世紀」と題したささやかなイベントが、地下1階で開催されていたのです。

 2年間の工事では、趣のある外観や内部デザインはそのまま残して補修をし、舞台の奥行を拡張したり、座席のシートを張り替えたりするそうです。

今年は立春をすぎても寒かったので、鶴舞公園内の桜は開花しておらず、許可を得て公園内に陣取った露天の店主たちは、ちょっぴりかわいそうでした。

 同じ公園内にあった愛知県勤労会館はなくなってしまっていますので、名古屋市公会堂は改修になって、ほっとしています。

 

~ 預貯金債権は遺産分割の対象か ~

(事例)

 被相続人Aの相続人は、Aの養子X(Aの弟の子)とAの養子B(Aの妹・すでに死亡)の子Yです。Aは不動産のほか、普通預金、通常貯金および定期貯金を残して亡くなりました。Yの母Bは、生前、Aから5500万円の贈与を受けており、これがYの特別受益となります。

(回答)

 相続人が複数人いる場合、相続開始時に、各共同相続人は被相続人の権利義務を承継しますが、相続開始とともに共同相続人の共有に属することとなる相続財産については、相続分に応じた共有関係の解消手続きを経ることになっています(民法896条、898条、899条)。

 X・Yは、相続開始と同時に、被相続人A名義の不動産を共有することになりますが、預貯金債権は、現金のように、相続開始と同時に分割されるのか、共有になるのかが、これまで問題となっていました。

 共同財産中に可分債権があるときは、相続開始と同時に、当然に相続分に応じて分割され、各共同相続人の分割単独債権となりますが、共同相続された普通預金債権、通常貯金債権、定期貯金債権については、その性質を考慮した結果、いずれも、相続開始と同時に、当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となるものと解するのが相当であると判断されました。

 したがって、X・Yは預貯金債権を共有することになり、その共有関係を協議によらず解消するには、Yの母Bが生前、被相続人から贈与を受けたことから生じたYの特別受益等を考慮して定められる具体的相続分をもとに、家庭裁判所による遺産分割審判をすることになります。             

  

2017.4 vol.31