うさこの事務所HPかわらばん12月号アップしました。

司法書士・不動産 辻事務所

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相続の相談

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今号のテーマは、下記の2つです。

 

~ ブラックフライデー ~

 

 先月末は、「ブラックフライデー」なる聞きなれない言葉が、世のなかを飛び交いました。そして、今日から、通販サイトのアマゾンでは、サイバーマンデーセールだとか。よくわからないまま、踊らされています。

 東京都知事の女性も、会見で頻繁にカタカナを遣われますが、不勉強でときどき意味がわからず、調べて日本語にしてみて、なんだ、直訳できる日本語がちゃんとあるじゃないかと、拗ねています。鉛筆をペンシルとは言いたくないのです。

 

  

~ 振り込め詐欺の金員送付先とされた賃貸物件 ~

 

 先月、友人からワンクリック詐欺に遭ったと相談がありました。まだ30代の彼女でも、頭が真っ白になり、高額を2回にわけて振り込んでから、ふと我にかえり、私が司法書士だということを思い出したとのこと。高齢者の被害は、よく報道されていますが、悪徳業者による詐欺は、次々と変容し、被害が後を絶ちません。

 今号では、賃貸事務所が振り込め詐欺の金員送付先の住所とされていた場合に、その物件の賃貸人と仲介業者に責任があるかを問うた裁判事例(東京地方裁判所平成27年9月1日判決)を取り上げます。

 

(事例)

 インターネット販売等の業者である借主Xは、平成25年5月20日、不動産仲介業者Yの仲介で、Zから本件建物を事務所として使用するために借りた。当時、警察庁ホームページには、振り込め詐欺業者として、本物件の住所が公表されており、福岡県警ホームページにも、振り込め詐欺業者として、同住所が公表されていた。

 Xは、平成25年11月15日、本物件から本店住所地を移転した。Xは、本物件には、「過去に振り込め詐欺の金員の振込先として使用されていた」という隠れた瑕疵があることから、本物件での事業継続が困難であったとして、Y及びZの責任を追及した。

 

(判決)

 賃貸した事務所の住所が、振り込め詐欺の金員の送付先住所として、警察庁等のホームページに公開されていることにつき、隠れた瑕疵があるとは認められないとして、Y及びZが不法行為責任ないし債務不履行責任を負うと認めることはできないとしました。

 事業用賃貸借契約の主たる目的は、事業収益の獲得であり、隠れた瑕疵があるといえるには、「嫌悪感等が事業収益減少や信用毀損等の具体的危険性に基づくものであり、通常の事業者であれば、本件建物の利用を差し控えると認められることが必要」であり、本件では、そこまでではないと判断されました。

 賃貸契約締結時、Y及びZが、ホームページの公表内容を知っていたとは認められず、事業用賃貸物件の賃貸借契約締結には、特段の事情がない限り、Y及びZにおいて、本物件につき、過去に犯罪に使用されたことがないかについて、調査・確認すべき義務があるとは認められないと判示して、貸主や仲介業者としての責任を否定しました。

  

2016.12 vol.27