今宵 出船かおなごりおしや  (瀬戸内海  太平洋)

 (ナレーション)
三原港を出立した 艶姫と源三
宝海運の夜行貨物便にて 江戸へと密航したのでした
雲ひとつ無い瀬戸内の満点の星空の下
塗炭の苦しみ を味わう仲間のためにも
水戸の御老公 に命を懸けても証拠の録音を届けねばと
流れ星に誓う 源三なのでした

艶姫       わらわは 犯罪者ではないぞ


源三       密航 に 抜け荷 この方が物語りは面白くなりますよ


ヒロ吉      我が 宝海運は決して御禁制の品など

艶姫       ほな このバテレンの宝飾品は何じゃ

ヒロ吉      それは バレンタインの贈り物 で御座いますよ


              アホな小娘が ほすと と名乗る野郎に贈るのでございますよ

艶姫       ポスト に贈るとな ポストは入れる物 訳が分からんわ


             それよりヒロ吉 酒の用意でもせぬか


うさ子      そうじゃ そうじゃ 宴会じゃぁ


うさ        三原名物 タコの山葵和え もおまっせ

ミミ         ちょと あんたら何べん言うたら分かるんです まだダメなの

うさ子       ミミが年寄りいじめよるがな 長生きは しとうないのう


うさ         ほな ブロック10枚ほど抱いて水泳します


れおん     うわっ うささんまで 何と言う事を  師匠 ますますいじけますやん

ミミ         そんな事はどうでもええし はいっ 退散!!!


艶姫       源三 満点の星の下で飲む酒は格別やのう


源三       島の仲間の事を思い出すと・・・・・・・・・・・


          空腹で苦しんで 同じ星を見ていると思いますと


艶姫       そうであったのう おう 今日は満月ではないか


源三       あの お月さんに 何兎仲間が召されたかと思うと

艶姫       こりゃぁ 源三 貴様 気の滅入る事ばかり言いやがって 酒が不味なるわい

源三       あれー これ酒ちゃいまっせ 酢 でんがな

艶姫       こりゃぁ ヒロ吉  ここへ参れ

ヒロ吉      姫 大当たりで御座います  おめでとうございます

艶姫       人に 酢なんぞ出して 何を訳の分からん事をかますのじゃ


はな        かますのは うちやでー    ほれっ クサりん プップやでー

 


源三       また 変なんが出てきましたがな


艶姫       ところで 酢を飲ませて何が めでたいんじゃ

ヒロ吉      へいっ これは メリケンの遊びで ろしあん酒 というもんで


              酢が当たれば 大当たり おめでとうございます てなもんで

艶姫       それじゃ 景品として船倉に隠してある お宝を貰うぞ


          これが 抜け荷の動かぬ証拠じゃ

ヒロ吉      姫 堪忍しとくんなはれ それは もみじ饅頭 でっせ

こんなアホな事をしているうちに夜は明け  大坂は天保山に着きにけり

      くらわんかー くらわんかー

艶姫     ヒロ吉 あの小舟は何でござるか


ヒロ吉    へぇ あの舟は よろがわ は 枚方名物

         

           朝食を売り歩く くらわんか舟 にございます


源三     ふぅーーん  駅弁売り みたいでんな

 
ヒロ吉     今朝は 天保山まで延長運航の日でんねん



今も 枚方銘菓として くらわんか の名がついています

源三       姫 どうぞ朝定食ですよ


艶姫       おえっぷ 頭がガンガンするわ メシより迎え酒じゃ

うさ         姫 迎え玉はいかがですか


うさ子       あんにゃ やっぱり酒やで


れおん     そうですよ うささん 生身の人間にタマは無理ですよ


うさ         どいつもこいつも根性無しやのう

艶姫       おえっぷ 何を抜かす ぐうえっぷ 受けてたったろうやないか

源三       姫 お止め下され 自殺行為ですぞ


           それはそうと 何で うさっ娘軍団がいてまんねん

ミミ          ちょと あんたら まだあかん言うてるの 判れへんのん

うさ子       ミミよー そんなに怒るなよ わしら暇で 暇で


うさ         そうですよ こんなん体なまりますやん

ヒロ吉      よかったら 船底 でオール漕ぎしまへんか

ミミ         うささん 良かったですやん いいバイト見つかって


うさ         あほくさ そんなエライ目 何でせなあかんねん


うさ子       うさ すまん酒代ないんじゃぁ ここはひとつ


           養老の滝の息子みたいな気はないんかい

 

うさ         うさは他人ですやん


ミミ         うささん あとの仕返しを考えたら


れおん     そうですよ ここはひとつ軍団のために 涙を飲んで


うさ      ほな 体もなまってきたし 一丁こいだろかい   れおん あんたもやで

 
れおん    ええー 何で僕までですのん

    うさが漕げば百万兎力 でございます

うさ         よっしゃぁ 海上の高速記録 塗り替えたるで

これで ひとまず 小うるさい うさっ娘軍団は船底へ  ほな しゃいならー

御禁制の抜け荷を扱う 海賊船は うさのフルパワーで 高速船となり


大阪湾を海路 右手に淡路島を眺め 加太港へと立ち寄りました

艶姫       おい ヒロ吉 加太にはなんぞ あるんかい


ヒロ吉      いえ この御禁制の 仏蘭西人形 をば供養してもらおうかと


艶姫       ヒロ吉! 今 なんてぬかした 確か 御禁制とか


ヒロ吉      えー まさか 近世のと言っただけですよ (おー やば)

ここ 加太には人形供養の神社として有名な 淡島神社があります

艶姫       ヒロ吉 昼飯は何処で馳走してくれるんかいの


ヒロ吉      え”- 何でワシが奢らなあきまへんねん


艶姫       御禁制の仏蘭西人形とな  首と胴がおさらばするんやなー


ヒロ吉      ヘイヘイ 和歌山は和歌の浦に 和歌山藩御用達の料亭が


                ありますゆえ ここの藩主を伴い一席 設けまっさ

    そして 和歌の浦

藩公       そなたが 小早川公の娘の 艶姫なるか  これは これは 美形じゃの


艶姫       この体 じぇにが掛かっているからのう 目元 鼻筋 おっぱい


源三       え”え”-  姫 整形美人なんですか


艶姫       嘘じゃ じぇーーんぶ 天然じゃ ほれっ パフパフ


藩公       これは これは 面白い姫じゃ


            よかったら 江戸に勉強に行っておる 我が息子 吉宗 の嫁にならぬか

  でも 何の勉強なんじゃらほい 産婆 いやもとい サンバ の勉強とか

そして 和歌山からは 太平洋の 黒潮に乗り 波路遥かに 江戸へ

遠州灘から駿河湾へ抜けると左手には 富士山 が見えてまいります

艶姫      ヒロ吉よ このあたり 丸に屁の家紋を帆につけた 船がぎょうさん おるのう

ヒロ吉    あれは お月さん漁業 の船でございます


            まる屁 の はなえもん と言うので御座います

源三      横浜には 横浜大洋銀行が まるは と名乗っていたと思いますが

艶姫      して ヒロ吉 あやつは何をしとるんじゃ


ヒロ吉     将軍御用達の ぐじ を釣っていたのが始まりで 今では


          ほれっ あの軍艦みたいな船が 南氷洋まで捕鯨に行くそうな

艶姫       まる屁 の はなえもん か頼もしそうな奴じゃのう

駿河湾から伊豆半島  眼前には あんこ椿 で有名な 伊豆大島

源三       姫 あの島 冬だというのに 花火大会やってますよ


艶姫       おー 凄い迫力じゃのう 船まで響いてくるのう


源三       海まで 沸き立っていますよ

ヒロ吉      姫 あれは 三原山が噴火しているので御座いますよ

艶姫       なにょー 三原が噴火とな こら一大事じゃ 帰るぞ

ヒロ吉      三原は三原でも 広島の三原ではございませぬ

艶姫       そうか ほなゆっくり見て・・・・・・・・・・

   こっつーーーーーーーん

艶姫     いったーーーーーーーい  何か飛んできましたやん

ヒロ吉    姫 またまた 大当たり で御座います 
 これは 火山弾と申すもの

 

艶姫     もう 当りはよいわ

相模湾を抜けると 左手には 三浦半島  右には 房総半島
夜も白み出す頃 東京湾 いえ 江戸の海 へ

源三       姫 間もなく 江戸でございます


艶姫       あとは 陸路 水戸まで何事も無ければよいが

ヒロ吉      姫 間もなく 竹芝 に到着致しまする

艶姫     ヒロ吉 世話になったのう 礼を言うぞ


          「誰か役人はおらぬか ここに抜け荷 と 

 

                         阿片 を密輸しとる極悪人がおるぞよ」


ヒロ吉    ひ ひ 姫  何を訳の分からん事 を言いまんねん

役人     誰じゃぁ 極悪人は どいつじゃぁ 


                  潔く お縄を頂戴するんじゃぁ

源三     ヒロ吉さん お可哀そうに 姫 無茶苦茶しまんなぁ


やっとの事で 江戸 まで辿り着いた 艶姫と源三
御老公に島の実情を知って貰うべく 陸路 水戸へと向かったのでした


          次回 うさこうもん は  

うさ子   秘密じゃぁ  誰が教えるかーーー

 

 

 

それじゃあまた逢えたらいいね

 
               うさうさ  うさ子
 
 
 



 
 
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