宇宙歴794年(帝国歴485年)1月・・・。


 イゼルローン要塞駐留艦隊所属のカール・グスタフ・ケンプ中佐は、哨戒任務中に敵のパトロール部隊と接触。
 これは銀河の歴史の中ではほんの小さな小競り合いであったが、彼は巡航艦1隻で、3隻もの戦艦を見事に撃沈さる。
 当面の危機を回避したこの功績によって、彼は漸く大佐への昇進を果たし、戦艦の艦長に就任する事となった。


 空戦隊きっての撃墜王から、巡航艦の艦長へ・・・。


 こんな変わり種の昇進を果たしたのは、中佐になってからの事だった。
 元ワルキューレのパイロットという経歴は、銀河帝国軍の艦長の経歴としてはかなり珍しい部類に入る。
 ただし、中佐から大佐までの道のりは決して平坦ではなかった。
 むしろ、苦労の連続だったと言っても過言ではない。


 個人の技量が要求されるパイロットと勝手が違ったのか、何と昇進に、4年もの歳月がかかっていた。
 だが、その苦労も報われ、念願叶って漸く戦艦の艦長になるのだ。
 しかも、自身の身分は貴族ではなく、単なる平民出身である。
 それを考慮すると、大出世に入るのは間違いない。
 これも、今まで幾多の困難でも、そのつど生還したケンプの運の良さも考慮されるべきだろう。
 ・・・戦死したら、戦艦の艦長にはなれないし、紙切れ一枚で死後に昇進しても嬉しくはない。

 この昇進を聞いた時は、妻の実家ではご近所に焼き菓子を配って、更には酒席を設けて、義理の息子の昇進を大々的に祝ってくれたほどだ。

 

 ケンプの友人の多くは空戦隊だった。
 空戦隊は戦死の確立が高い部署である。
 同僚達の多くは、既に天上<ヴァルハラ>の住人になっている。
 彼の昇進を心から喜んでくれたのは、今は退役して会社経営者になっている友人と自分の家族、そして妻方の親戚だけであった。
 彼は、今まで死なずに済んだ自分の運の良さを実感していた。
 そして、このまま上手くいけば、艦隊司令官になって手腕を振るうのも「夢」ではなくなるかもしれないと思い始めていた。



 
 「これが俺の乗る戦艦・・・?」


 ケンプは、分厚い書類を片手に、イゼルローン要塞内の宇宙港に係留されている戦艦を見た時、とても雄姿とは言えないその外観に驚いた。
 それと同時に、不信感を抱かずにはいられなかった。
 ・・・大きさも、戦艦の中ではどちらかと言えば小型の部類に入る。
 お世辞にも、良い艦とは言えなかった。


 (こいつは・・・参ったな・・・)


 さすがに、「酷い艦」だとは口に出来ず、心の中で呟く以外になかった。
 一体いつから就航しているのかと思えるほど、修理に修理を重ねた老朽艦。
 おまけに、艦の名前すらも、人を馬鹿にしているとしか思えなかった。
 戦艦『シルトクレーテ』・・・意味は“亀”である。
 ケンプは無性に腹が立ったが、艦体に、ふざけた亀の艦章が描かれていないだけマシかもしれないと、何とか怒りをこらえるた。


 「これはまた・・・。おまけに動きの鈍そうな名前だな。しかも…老朽艦とは・・・。軍の上層部は一体何を考えているのだ・・・。戦場で動けなくなったらどうするつもりなのだ?」


 ケンプは誰もいない所でブツブツと呟いて、この艦の副長のフォルカー・ハイゼンベルグ少佐を呼んだ。
 「おい、こいつはちゃんと動くんだろうな、副長?」
 「は・・・?あぁ、艦ですか。まぁ、確かに見た目はちょっと古いですが、機関部は機関長がしっかりしていますので、ちゃんと整備が行き届いています」
 ハイゼンベルクはにこりともしないでそう言うと、「まだまだ現役で大丈夫です。安心して下さい」と付け加えた。
 「そうか」
 「・・・火力の面でも、他の最新型と比べても遜色はないと思いますが。それに内装の方も、時代に合わせてリフォームしていますし・・・」
 「リフォームだと?」
 「あ・・・はい。士官食堂とか、色々手を入れていますし・・・。内部も機関部も本当に他の艦と比べても遜色ないですから・・・」
 ハイゼンベルクの言葉に、ケンプは「・・・分かった」と言うと、書類をパラパラとめくった。

 ハイゼンベルグは遜色ない・・・と言うが、これはどう見ても“老朽艦”だ。
 整備が行き届いて、いくら現役であろうとも、“耐久性”の面では問題がありそうだった。


 貴族出身の艦長だと新しい戦艦を割り振り、平民出身にはポンコツの、それこそ廃棄寸前の老朽艦をあてがうらしい・・・というのは、士官学校在籍当時から、噂
には聞いた事があった。
 ケンプは馬鹿馬鹿しいと、その手の噂を笑って聞き流していたのだが、どうやらそれは現実であったらしい。
 この艦を見れば、噂は正しかったのだと思う・・・悔しいが。
 あまりにも馬鹿馬鹿しいが、彼はどう叩いても、丸っきりの平民なのだ。
 普段はそれほど深刻に考えた事もないが、ほんの一瞬、自分が平民に生まれついた事を呪わずにはいられなかった。


 「あの・・・艦長、中をご覧になられますか?」
 タラップを指差すハイゼンベルク。
 「あぁ・・・そうだな」
 気を取り直したケンプは、ハイゼンベルグ少佐とともに、艦内に入り、一通り見て回る事になった。
 「おい、副長。艦橋を見るのは後回しだ。まずは・・・機関室に案内してくれ。さすがに気になって仕方がないのでな」
 「機関室ですね・・・こちらになります」


 普通の艦長ならば、艦長室や艦橋から見るのだろうが、ケンプはそうせず、まずは懸念された機関室から見て回る事にしたのだった。
 ハイゼンベルク少佐が「問題ない」と力説した通り、機関室は、古くからこの艦の乗員である機関長のヘルマン・ゾーベル技術大尉が心血注いで細かい整備を
しているだけあって、多少の無理でもききそうだった。
 「確かに整備は行き届いているな・・・」
 ケンプはホッと胸を撫で下ろした。
 ・・・ただし、老朽艦であるが故に、“絶対に安全だ”と言い切れないのがツライところではあるが。


 「ところで・・・ワルキューレの格納庫はどうなっている?こちらも今すぐにでも見たいのだが」


 「・・・はぁ・・・ワルキューレですか。・・・格納庫は艦底にありますが。あの・・・艦橋よりもそちらを先にご覧になられるのですか?」
 ケンプが、艦長室や艦橋以外ばかりを回りたがるので、ハイゼンベルグは少々驚いていた。
 「あぁ・・・是非そうしたい」
 ケンプが大きく頷くと、ハイゼンベルグは首を傾げた。


 (何だか不思議な人だなぁ・・・)


 そう思ったものの、ケンプが元空戦隊であるのを思い出した。


 (・・・あぁ、なるほど、そういう事か・・・)


 ハイゼンベルクは漸く合点がいき、ケンプを格納庫に案内したのであった。



 ケンプは、艦底にあるワルキューレの格納庫をざっと見回す。
 「ふう~やっぱりこの艦もか・・・」と、深い息を吐き出した。
 ハイゼンベルグは訳が分からず、「あの・・・どうかなさったのですか?」と、心配そうにケンプに視線を移す。
 だがケンプは、「いや・・・何でもない。気にするな」と言って、それ以上を答えようとはしなかった。


 ケンプが「やっぱり・・・」と言ったのには理由がある。
 ワルキューレの格納庫は大抵の場合、鑑底部分に付いている。
 この艦底というのが曲者・・・パイロット出身であるケンプにとっては大問題なのだった。
 艇艦が被弾した場合、上部の艦橋や指揮官等をを守る為に、艦底部分を即座に切り離せるようになっている艦が多いのである。
 そして、躊躇いもなく、簡単に切り離すのは、圧倒的に貴族出身の将官達であった。
 下っ端の兵士を犠牲に、自身の保身を図るというヤツである。
 上部と切り離しても、格納庫部分も航行可能ならば大して問題ではないし、指揮官は出来るだけ生き残らねばならない・・・とされている。
 しかし、現実には格納庫部分だけで航行可能な艦は存在しないし、現実問題、被弾すればワルキューレのパイロット達には悲劇が待っている。
 彼等は詰め所に詰め込まれたまま、飛び立つ事さえ許されずに、敵の砲弾の前に四散し、宇宙の塵へと還元されてしまう場面が多いのだ。


 かくいうケンプも空戦隊時代に、第一陣として宇宙空間に出た後、母艦が大きく被弾し、艦底部分を切り離した為に、第二陣として控えていた多くの同僚達を目の前で失った事がある。
 その後、母艦は呆気なく沈んでしまったが、艦長以下数名の艦橋要員は生き延びて、他の戦艦に拾われたらしいのだ。
 その腹立たしさを、ケンプは敵のスパルタニアンにぶつけた。
 一気に10機もの敵を屠り、3隻の巡航艦を撃沈させ、1隻の戦艦を航行不能に陥らせた。
 文字通り、敵味方の双方に撃墜王の名を轟かせて、何とか別の艦への帰投に成功したのだった。

 そんな彼をその艦の艦長は賞賛してくれ、ケンプの為に便宜を図ってくれたりしたのだが、彼の心は暫くの間晴れる事はなかった・・・宇宙歴790年(帝国歴481年)12月の事であった。


 その後、その艦長を通じて、軍務省を相手にワルキューレの格納庫問題を意見具申した事がある。
 ところが、いくら撃墜王とは言えども、諸全は平民の意見であると全く相手にされずに、結局うやむやにされてしまった・・・。




 宇宙歴794年(帝国歴485年)12月・・・。


 難攻不落のイゼルローン要塞は、自由惑星同盟と言う名の、招かれざる客を相手に戦闘を開始した。
 彼等は、この銀河帝国の要であり、難攻不落と謳われる要塞を何としてでも攻略しようと、性懲りもなく、6度目になる派遣部隊を送り込んで来たのである。


 「何度来ようと、あの要塞砲の前には無駄だろうに・・・」


 叛徒共の意欲だけは認めるが、負ける為に戦いを挑んでいるとしか思えない。
 ケンプは呆れて笑うしかなかった。
 だが、笑ってばかりもいられない。
 彼と彼の部下達にも出動命令が下ったのだ。
 
 大きく回頭しつつ、主砲の斉射を命ずるケンプ。
 大胆不敵な戦法で、荒削りながら、同盟軍の浸透を食い止める戦果を上げる。
 ケンプの戦艦の主砲を浴びせられた同盟軍の2隻の戦艦は不意打ちを食らって、その動きを完全に止められ、凄まじい金属粒子の煙を噴出した。
 艦内の至る所で爆発が生じさせて無様な最期を晒したのである。
 ・・・大方、ケンプの艦を老朽艦だと馬鹿にしていたのかもしれない。


 2隻の戦艦がやられた事で復讐に燃えた同盟軍の他の戦艦が、戦艦シルトクレーテを破壊するべく、猛然と襲い掛かってくる。
 老朽艦ゆえ、実は艦内のあちこちでガタが生じていたが、名前に似ず、意外と小回りの利く艦だった。
 戦艦「シルトクレーテ」はエンジンの許す限りのスピードで戦場を所狭しと移動しており、何とか持ちこたえていた。
 敵に肉迫されて、荷電粒子砲のビ-ムを撃ちこまれたが、ケンプは神業的な回避でこれをやり過ごした。
 だが、この艦ではこれ以上は無理だと考えて、ケンプは総司令部に援護を求めたのである。
 いくら戦果を上げようとも、老朽化した戦艦1隻ではこれ以上の対処のしようもなかったのだ。
 だが、司令部からの返答はあまりにも冷たいものであった。


 「我に余力なし。各艦レベルで対処せよ」


 総司令部には余力が充分あるのを知っていたケンプは、勢い良く艦長席から立ち上がり、組んでいた太い腕をほどくと、拳を振り上げ、真っ赤な顔で怒鳴った


 「そうかそうか、よくわかった。戦争はおれがやると総司令官に伝えろ。安全な壁のなかにいる奴に、何が出来る!?」


 通信士官のリヒャルト・ベッカー中尉は気を利かせて、すぐさま通信回路をカットしたので、ケンプの怒号は総司令部には流れずに済んだ。
 ケンプは被弾しながらも退路を確保し、結果的に、2隻の艦の爆沈と、2隻の艦を航行不能にして、自力で戦場を離脱。
 無事にイゼルローン要塞に帰還を果たした。
 そして・・・彼は被弾しながらも、最期まで艦底部分を切り離す事はなかった。




 「今回は戦艦の艦長で凄いのが多かったな、キルヒアイス」
 「それは・・・ビッテンフェルト大佐の事ですか、ラインハルト様?」
 ラインハルトは、キルヒアイスから差し出されたクリーム・コーヒーを飲みながら頷いた。
 「それもそうだが・・・これも凄いぞ、キルヒアイス」
 たった1隻で敵の戦艦を2隻沈めた、戦艦「シルトクレーテ」のケンプ大佐のデータをキルヒアイスに提示するラインハルト。

 「もう、調べていらしたんですか。さすがです、ラインハルト様。それにしてもこのデータは興味深いですね」
 ラインハルトから差し出されたデータに見入るキルヒアイス。


 「だろう?回頭しながら主砲斉射というのは荒削りだが、見所はある。荷電粒子砲の回避も絶妙で、判断力も非凡そうだ。・・・しかも、この艦は廃棄寸前の老朽艦なのに、そこまでやるというのが面白い。・・・そうは思わないか?」
 「そうですね。あ・・・空戦隊の出身なんですか。・・・艦長としては珍しい経歴の持ち主と言えますね、ラインハルト様」
 「・・・撃墜王としてはかなり有名だったらしいな。それと・・・これも実に興味深いぞ、キルヒアイス」
 ラインハルトがキルヒアイスに見せたデータの中には、例のワルキューレの格納庫に関する意見具申の内容もあった。
 「人道的に見ても、改善の余地のある内容だ。だが、そのままになっているのは、軍の怠慢と言わざるを得ない」
 「しかし・・・ラインハルト様。どうして、こんなデータだけが残っているんでしょうか?」
 キルヒアイスが首を捻る。
 破棄された案件だけが、データ上に残っているのが不思議だったからだ。


 「戦闘中に彼を拾った艦の艦長が、門閥貴族のクレスマイヤー男爵家の次男で、彼を通じて軍務省に意見具申をしたようだな。具申内容そのものは、改善の余地ありと判断されたらしいが、結局のところ見送られている。・・・所詮は平民のたわごとと見られた訳だ。データだけが残ったのは、多分・・・クレスマイヤーの名前ゆえだろうな」
 「なるほど・・・そう言う事ですか。ありがちな話ですね」
 キルヒアイスの顔は曇った。
 「下の意見に全く耳を貸さずして、大きな顔ばかりする・・・。全く・・・軍もどこも腐敗しきっている。・・・反吐が出る」
 「・・・ラインハルト様。・・・お声が」
 「大丈夫だ、キルヒアイス。誰もいない。・・・お前はいつも心配性だな」と、ラインハルトは僅かに微笑んだ。
 「まぁ、艦長のクレスマイヤー大佐も貴族にしては見上げた心根の持ち主だったらしい。ケンプが巡航艦の艦長になる際に推薦状を出したり、例の格納庫の意
見具申に協力したようだからな」
 「その艦長は今は・・・」
 「長男である兄が病気で没した為に退役して、男爵家を継いだとデータにある。どうやら表舞台には出ずに地方で隠遁生活を送っているらしい。そういう意味
では、このクレスマイヤーというのは馬鹿ではないらしい」
 データを目で追っていたキルヒアイスも頷いた。
 「そのデータでは、ケンプはこの時の戦闘で、たった1機のワルキューレで、10機のスパルタニアンを撃墜、3隻の駆逐艦を撃沈、1隻の戦艦を航行不能と
いう戦果を上げて中佐に昇進。それで空戦隊から離れて巡航艦の艦長になったらしい。そして、今年1月に大佐に昇進している。年齢は・・・32歳だな。貴族出身者ではない事を考えても、色々な意味で骨がありそうな男だな」
 「・・・ビッテンフェルト大佐同様に、ケンプ大佐にもご興味を持たれたのではないですか、ラインハルト様?」
 キルヒアイスの笑みにラインハルトは大きく頷いた。
 「あぁ・・・その通りだ。意外なところで、色々と有能な人材はいるものだな。いい機会だから、ビッテンフェルトだけではなく、この男にも会ってみようと思う。キルヒアイス、悪いが至急手配
してくれ」
 「はい、ラインハルト様」
 

 「艦長・・・ミューゼル少将から至急出頭せよと・・・」


 休憩室でコーヒーを啜っていたケンプは、突然ハイゼンベルグ少佐から告げられて、「はぁ?」と間抜けな返事をした。
 「はぁ・・・じゃなくて。ちゃんと聞いておられますか?ミューゼル少将から至急出頭せよと命令が出ていまして・・・」
 「だから、何でだ?」
 「さぁ・・・」
 「さぁ・・・って。何かの間違いじゃないのか?俺は急な呼び出しを食らうような事は何もしてないぞ」
 ケンプは首を捻った。
 とかく噂にのぼる金髪の若い司令官の事は一応知ってはいるが、ケンプは少将とは全く面識がない。
 それに、戦闘中に問題を起こした覚えもない。
 だから、何かの間違いではないかと思ったのである。


 「間違いはないと思います・・・。少将の副官のキルヒアイス少佐からの直接の連絡でしたので・・・」
 「知っているのか?」
 「いえ、直接は知りませんが、凄い赤毛で・・・背も高いですからかなり目立ちますよ。それより・・・ミューゼル少将って、確か『金髪の孺子』って呼ばれているんですよね、艦長」
 「あぁ・・・皇帝陛下の寵妃の弟で、爵位のない貴族出身だとかで、大貴族の連中は馬鹿にしているようだな。・・・まぁ、俺には関係ない世界の話だ。しかし・・・何
で俺に出頭命令が・・・。卿は何でか分かるか?」
 「さぁ・・・そこまでは。どうなさいますか?」

 「おい・・・どうなさいますって言われても。・・・出頭しろと言っているのだろう?・・・仕方がない。行くさ」


 ケンプはそう言うと残りのコーヒーを一気に飲み干して、紙コップをダストシュートに放り込んだ。
 そして、ラインハルトの元へ行く為に、椅子に無造作に引っ掛けてあった上着を取り上げてキチンと着込んだ。


 「何を言われるのだろうな・・・」
 ケンプはブツブツと呟きながら歩き出す。
 「大丈夫なのかな・・・艦長は。何事もなければいいけれど・・・」
 ハイゼンベルグは不安そうにケンプを見送った。



 そして、ラインハルトとの出会いが、ケンプの人生にとって、一つの転機であり、新たなる時代の幕開けでもあった・・・。




Das Ende




 100のお題ではありません・・・かなり昔に書いた二次小説です。


 第6次イゼルローン要塞攻防戦です。
 「攻防戦」なのがミソ。


 因みに次に帝国と同盟とがぶつかるのが、第7次であり、この時にイゼルローン要塞は、同盟ヤンの手腕によって・・・帝国から同盟へと持ち主が代わる訳です。
 どちらの側から書くかで「攻防戦」にうなったり、「攻略戦」になったりするんですよ。

 第6次を扱う時点で、超マイナーな話なのですが、どうしても書きたかったんです。


 外伝の3巻の178頁(新書版です)で、ラインハルトはビッテンフェルト大佐に会ってみようとしているんだけど、だったら・・・。
 201頁のケンプにもその資格があるぞ・・・てな訳で、考えたのがこの話。


 ライさんとケンプの出会いがイマイチ分からなかったんだけど、ここで会っていたら??って。

 かなりいい線いっているのではいか・・・と自負してます。
 ケンプが、戦艦の「ヨーツンハイム」に乗る前の話だと思って下さい。


 それにしても、ケンプがラインハルトの元帥府に入ったのが帝国歴487年3月。
 これが6月までイゼルローン要塞にいたらコワイ事になっていたはず。
 何故なら・・・。
 イゼルローン要塞駐留艦隊はヤンにやられてしまうので、凄い運の持ち主だった(その時点では)って事になるのね~!と。


 戦艦とワルキューレの格納庫の関係については、ちゃんと、エンクロ(ハード・カバー版の方)に載っています。
 それによると、ラインハルトが実権を握ってからの戦艦は、ドック内蔵式になり、兵卒の信頼を得たとあります。
 ケンプは空戦隊の出身なので、他の将官よりはその辺りを憤慨していた可能性は非常に高い。

 ・・・彼の意見を汲み入れて、ラインハルトが見直したと思うんです。


 しかし、ライ&キルを出したのに、どうもマイナーな話だよなぁ、今回のは。
 姓もミューゼル時代だし。
 自分でも大笑いです・・・ごめんね、ライ&キル。
 そして貴重なネタをありがとう、ケンプ・・・。(笑)


 それと・・・エンサイクロペディアでは、(ハード・カバー版、改訂版、さらには銀河英雄伝説ガイドブックですらも・・・)ケンプの戦歴のところを、第5次イゼルローン要塞攻防戦と書いていますが、これは、「第6次」の大きな間違いです。
 「第5次」では、ラインハルトは、まだ少佐なんですね。
 しかも、駆逐艦エルムラントⅡの艦長でしかなく、何と!あのレンネンカンプ大佐がラインハルトの上官なのです!


 エンクロは、細かい部分に結構ミスがあるので、これの情報を鵜呑みにしている人がいたら、お気を付けあれ、です。
 参考にするのは良いけど、まずは自分である程度調べてから参考にすべし・・・です。
 ハード・カバー版はメルカッツの名前も違うしぃ~!


 ケンプに関してはあまりの扱いに、あのWikipedeiaに投稿して内容を修正しちゃいましたです。(wikiのアカウントを持っているので、色々と書き込みしてます・・・銀以外では、佐藤江梨子さんのエピソードとか、クワバタオハラのエピソードとか・・・爆!)


 最後に、今回のタイトルは、ドイツ語で「出会い」という意味です。・・・ううう・・・捻りがないよなぁ・・・。


 因みにラインハルト、キルヒアイス、ケンプ、ビッテンフェルト以外のキャラは全てオリジナルです・・・勿論、戦艦名の『シルトクレーテ』も。
 ふざけた亀の紋章がなくて本当に良かった・・・。


 外伝の「奪還者」に出て来た、ラインハルトがその昔に乗っていたらしい戦艦『ヘーシュリッツエンチェン』には、変なアヒルの紋章が描かれてたので、それ
に引っ掛けてみました。
 あ・・・『ヘーシュリッツエンチェン』の意味は『みにくいアヒルの子』だったりします。

 オリジナルの外伝を制作したスタッフも、こりゃ相当遊んでいるよなぁ・・・と思いましたですよ・・・。
 あのブサイクな黄色いアヒルさんは・・・大笑いです。

 あの外伝はね、スタッフによる究極の二次作品だと私は思ってます・・・。
 オリジナルの外伝は、補給部隊のアイゼナッハ、フェザーン駐在武官のミュラー・・・そして、上官にレンネンカンプ。
 更には、ラインハルトに銃の撃ち方を教えるルッツとか、ラインハルトトの副長がワーレンとか、原作本伝では決してありえないものね。
 旧式の火薬式の銃の指導の時のルッツは、階級が上で、しかも、物凄く偉そうに指導してた・・・そこがツボだったですね。
 「撃ってみろ」とか命令口調で言っててさ^^@

 ラインハルトも「ご教授ありがとうございました」なんて、殊勝な事を言っているし。

 だけどね~爽やかに教えてあげてたルッツに大笑いした私って・・・^^@

 

 「反乱者」&「決闘者」&「奪還者」は、見た事ない人には・・・おススメです。


 ※再UPしたのは・・・文章をテキストからコピった時に、何故か物凄く崩れていたからです・・・でも、何故??