宇宙暦796年(帝国暦487年)4月24日早朝・・・。
 イゼルローン要塞司令官のシュトックハウゼン大将の副官のゼーゼマン中佐は書類を片手に彼の私室を訪れた。
 実はこの2日ばかり、シュトックハウゼンは体調を崩して寝込んでいたのであった・・・。


 4月21日、午後8時・・・。
 司令席に座っていたシュトックハウゼンは、時おり激しい咳き込みをしていた。
 「う・・・ゴホゴホッ・・・ゲホッ」
 朝から、多少の軽い咳は聞こえていた。
 だが、それは夜になって激しさを増しており、傍に控えていたゼーゼンマンを心配させていた。
 何だかぐったりと疲れたように司令官席の肘掛けにもたれかかっている。
 どうもただ事ではないので、その様子に顔色を変えるゼーゼマン。
 「閣下・・・大丈夫ですか!?」
 そう声を掛けるが、シュトックハウゼンは一言も発さない。
 声を出さないのは、ゼーゼンマン無視しているのではなかった。
 熱っぽくて喋る気力もないのだ・・・と察したゼーゼマンは、「閣下、失礼致します」と言って、上官の額に自らの手を当てた。
 シュトックハウゼンは手を払いのけるでもなく、副官にされるがままである。
 案の定、かなりひどい熱だった。
 「これは・・・閣下!」
 「あ・・・あぁ。ちょっとな・・・」
 シュトックハウゼンは、やっと口を開く。
 「でも、大丈夫だ・・・」
 気丈にそう言ったのだが、そのままぐったりとなってしまった。
 「あ、閣下!お気を確かに!」
 シュトックハウゼンの様子を見かねたゼーゼマンは、慌ててインター・コムで、要塞内に勤務する軍医を呼んだのだった。


 駆けつけた軍医は、シュトックハウゼンの顔色を見て静かに頷いた。
 そして、後ろを振り返る。
 一緒に来た衛生兵に担架を用意させようとしたが、「担架?・・・そこまでする必要はない」と、シュトックハウゼンに拒絶されてしまった。
 「私は大丈夫だ。医務室まで歩ける・・・」
 シュトックハウゼンは、何とか軍医とゼーゼマン、衛生兵に付き添われて医務室まで行ったが、40度を超える発熱とひどい咳で、鼻水も止まらない。
 更には、食欲不振と吐き気と頭痛と腹痛に見舞われていた。
 彼を診た軍医は、悪質な風邪だと診断を下した。
 その場で点滴治療をし、解熱の為に坐薬を投与する。
 これで多少の熱は下がったものの、暫くは安静が必要であった。
 なにしろ、血圧が極端に低くなっていて、高血圧気味のシュトックハウゼンを一瞬喜ばせたが、すぐに異常を悟って愕然とさせていた。
 「暫くは入院加療して頂きます」
 「薬だけで何とかならぬか?司令官がたかが風邪で入院など・・・」
 自分の仕事には熱心なシュトックハウゼンは、最初の内は執務を続けようとしていたし、軍医にもその旨を告げた。
 だが、他者への感染に思いを馳せると軍医は暗澹たる気持ちになり、シュトックハウゼンからの叱責覚悟で意見具申を試みた。
 「閣下、これはかなり重度の風邪ですので、とても勤務が出来る状態ではございませんぞ。風邪を甘く見てはなりません。昔から風邪は万病の元と申します。医務室での入院がお嫌でしたら、自室で休養をお取り頂きたい」
 「しかし・・・」
 「良いですか、閣下。ここでご無理をなさってこじらせても、閣下にとって何の益にもなりますまい。そうなってからでは、小官には責任が持てません。肺炎にでもなったらどうするのですか。どうか暫くは仕事は他の者にお任せになり、ここは是非とも休養を取って頂きたく・・・」
 軍医は恐い顔をしてシュトックハウゼンに脅し(?)をかけて、自室休養を勧めたのであった。


 実は軍に入りたての頃・・・。
 無理がたたった為に風邪をこじらせて、ひどい肺炎を起こして死ぬほどの目にあったシュトックハウゼン。
 彼はその時の事を思い出して身震いすると、軍医の申し出を素直に受け入れたのであった。
 それに、ゼークトの新妻だったマルガレーテは、新婚たった5ヵ月で風邪が元で亡くなっているのを思い出した。
 ゼークトの手前、マルガレーテを“ブス”呼ばわりしているが、彼女はこういうのもなんだが、“美女”の部類に入った。
 淡い金髪にすみれ色の瞳で透き通るほどの色白の肌・・・男なら誰でも振り返るような、儚げな感じの美人。
 シュトックハウゼンの1歳年下のマルガレーテとは、子供の頃から顔を合わせる機会が多く、幼馴染みで親しかったのだ。
 兄のエーリクもマルガレーテは気になる存在だったようだし、本来ならば、自分か兄のどちらかが・・・と思っていたところに、ゼークトが割り込んで掻っ攫うようなカタチで彼女のハートを射止めてしまったのだ。
 その事で憤慨していたら兄にからかわれて、つい、「貴族であっても爵位のない女性には興味がない」と言ってしまったが、自分が一歩も二歩も出遅れてしまった事に後悔していた。
 告白する事も出来ずに失恋した腹いせに“ブス”と言っているのだが、自分でもそこまで言う必要も無い事は分っているのだ。
 ただ、幼馴染みの自分よりも、パーティーで顔を合わせただけのゼークトを彼女が選んだ事に腹が立っていただけなのだ・・・子供みたいだと言われても。
 だから、本当の事を言うと、マルガレーテの逝去の報に接した時は、食事も喉を通らないほどのショックを受けたし、彼女がそこまでひどくなるまで気を使わなかったゼ-クトに腹が立っていた。
 実際には、ゼークトが出征中の出来事だったから彼のせいではないのだが、あの変わり者の伯父の占いが当たった事にも恐怖していていた。
 暫くは夜も眠れない有様だった事は・・・誰にも知られていないが、未だに思い出しても震えてしまうほどだ。
 人類が宇宙に進出して癌などの難病が、今は難病ではなくなってきているこの時代でも、“風邪”だけはなくならず、今も“万病の元”と言われている。
 何年かに1度は新型ウィルスによる風邪が流行したりして、その度に医療機関を震え上がらせていた。
 
 彼が寝込んでいる間は、駐留艦隊司令官のゼークト大将が代理で中央司令室で執務にあたる事になった。
 だが、ここは、元々はシュトックハウゼンの本拠地と言っていい場所だ。
 「ふん!!奴の息がかかっている場所だからやっぱり落ち着かん・・・。そこら辺の至る所からもぐらのニオイがする。気分が悪くなって来た・・・」
 ゼークトはそんな事を言って、シュトックハウゼンの椅子には座らず、わざわざ、自室から椅子を持って来させた。

 「おい、おい・・・凄いな」
 レンドルフもシェーラーもコンソールに向き合い、キーボードに指を走らせながら、ゼークトの態度に溜息をついていた。
 「全くだな・・・」
 データ処理をしながら、レーダー画面を見つめているノイマンも小声で、「2人が居ると物凄いムードになるが、本来シュトックハウゼン閣下は、それほどあくどい人じゃないしな・・・」と呟いた。
 実戦重視でどちらかと言うと好戦的なゼークトよりは、シュトックハウゼンの方が性格は穏やかで、部下に対して理不尽な命令をする事はない。
 怒鳴りつけられる部下は少なかったから、要塞守備兵達の間では、シュトックハウゼンの受けは決して悪くはないのだ。
 
 ゼークトは、今朝も中央司令室に顔を出す事は出した。
 「ふん、あいつが風邪を引くとはな・・・。鬼の霍乱か?だが、どうせすぐに復帰するのだろう?つまりは、卿等さえしっかりしていれば、奴がいようがいまいが、特に問題もない訳だ」
 ゼークトは、シュトックハウゼンの部下達にそう言い放つ。
 オペレータ-3人衆も、「またかよ・・・」と思ったが、何もそこまで言わなくても・・・と呆れて聞いていた。
 大好き!!とまではいかなくても、上官の悪口を朝っぱら聞かされて嬉しい気持ちになる者などいない。
 3人は、シュトックハウゼンを擁護したい気持ちになっていた。
 ゼークトは非常に面倒くさそうにして椅子に座っていたのだが、苛々しながら立ち上がり、うろうろと動き回っていた。
 「・・・俺は自分の執務室に戻る。大体、敵も現れない。あいつらとて馬鹿ではない。この要塞砲の威力を嫌と言うほど知っているのだろうしな。・・・となると、どうせ、今は書類の決裁ぐらいしかない。そんな物はシュトックハウゼンにさせればいいのだ。寝込んでいると言ってもたかが風邪だ。腕が折れていなければ、サインぐらいは出来るはずだ」
 同じ大将なのだから、シュトックハウゼンの代わりにゼークトが書類の決裁をしても別に悪くは無い。
 シュトックハウゼンの副官のゼーゼマン中佐が「ゼークト閣下。そう申されましても、軍医からは安静にと言われておりまして・・・」と言うと、ゼークトは腕を組んでゼーゼマンを睨み付けた。
 「奴の病を口実にここで全てを仕切ったら、それは奴が嫌がるのではないかな?俺にここを乗っ取られたなんて言い出だすに違いない。そんな事を言われたくないのでな。・・・だから、サインぐらいは奴に回してやれ。どうしても出来ない場合は、仕方がないから優しい俺がやってやるがな・・・」
 ゼークトは、借りを作るのも、貸しを作るのもイヤだと見えて、はなから書類決済を拒否する始末。
 「とにかく・・・戻るぞ」
 苛立ちを隠せないゼークトはそう言い出して、唖然とする士官達を残して、さっさと自分の執務室に戻ってしまった。
 結局、中央司令室にいたのは何と10分足らずである。
 何の為の代理の司令官なのか、サッパリ分からない。

 「ゼークト閣下はいったい何をしに来たんだろう・・・」とシェーラー。
 「ただ単に文句に言いに来ただけじゃないか?一応、代理だからな。しかし、毎度毎度・・・良く悪口のネタが尽きないな・・・と感心する」とレンドルフ。
 「まぁ・・・今日はもう来ないだろうから少しはホッと出来るな」
 そうノイマンが言うと、シェーラーもレンドルフも「そうだな・・・」と頷いた。
 「あとな・・・俺は思うのだが、シュトックハウゼン閣下がいないと、さすがのゼークト閣下も張り合いがないのではないか?」
 ノイマンの言葉に「張り合い?」とレンドルフが聞き返す。
 「あぁ、喧嘩をするにも相手がいないのではいつもの力が半減してしまうという事だ。1人で文句を言っていても、相手からのリターンがないからな」
 「あ・・・なるほど。でも、その論理だと閣下達は実は仲が良いという事になるな。“喧嘩するほど仲が良い”ってヤツだ」
 「そうだな。・・・確か、士官学校の同期だと聞いた事があるから、腐れ縁なのかもしれないな」
 「それだと、俺達も腐れ縁って事になるな」とレンドルフ。
 「なるほどね・・・」とシェーラーも苦笑していた。
  
 ゼーゼマンはゼークトが嫌いではないが、どっと疲れを覚えいた。
 確かにゼークトが言うとおり、シュトックハウゼンはゼークトがサインをするのは嫌がるだろうとは思った。
 それで、仕方なく、どうしても司令官のサインが必要な書類は、ゼーゼマンがシュトックハウゼンの自室へと運ぶ事になった。
 幸いにも処置が早かったのか、翌日には、熱は37度台にまで落ちていたし、シュトックハウゼン自身からも、書類を自室へ回すように言われていたのだ。
 シュトックハウゼン自身も、短期間とは言え、大嫌いなゼークトが自分の代行を務めるなど、神聖な職場が侵されてしまいそうで、我慢がならなかったのだ。
 「ふん!あいつが触った書類など、汚れ腐って臭くなってしまう・・・卿はそうは思わないか?」
 「はぁ・・・そうですね」
 そう答えながら頭痛を覚えるゼーゼマン。
 シュトックハウゼンはさも嫌そうな顔をしたが、ゼーゼマンに言わせれば、どっちもどっちであった・・・。


 「閣下、書類をお持ち致しました」
 ゼーゼマンは、扉に付いたインター・フォンに向かって呼びかける。
 ところが全く返事がない。
 困惑の表情を浮かべて暫く待ってみた後に、思い切ってドアをノックしてみたが、やはり、ウンともスンとも返答がなかった。
 シュトックハウゼンは、まだ多少の微熱があるはず・・・。
 ここにいるのは確かなはずなのに、全く返答がない事に、少々戸惑いを覚えるゼーゼマン。
 まさか、急に容態が悪化して・・・なんて事はないだろうな!?
 「それにしても妙だな・・・」
 首を傾げながら、ゼーゼマンは扉を押してみた。
 ここの扉は自動ではなく、本物の樫の木の一枚板を贅沢に使い、これまた贅沢かつ重厚な彫刻が施されている。
 ドアは手で押しただけで、スーッと簡単に開けられた。
 鍵がかかっていなかったのだ。
 「あ・・・なんだ・・・開くじゃないか・・・」
 そう呟いて苦笑して、書類を胸に室内に足を踏み入れたゼーゼマンの目に飛び込んで来たのは・・・。
 起きたばかりのシュトックハウゼンがベッド脇の鏡の前に立っている姿だった。
 ふわふわのピンクのタオル地にブルーのお魚柄のパジャマ姿で、スリッパも同じお魚柄である。
 このパジャマは昨年のシュトックハウゼンの誕生日に息子と娘からプレゼントされたものらしく、色違いの物と交互に着ているお気に入りのパジャマであった。
 何故か、かなり機嫌な様子のシュトックハウゼン。
 ふんふんふんふん・・・と腰を振りつつ、鼻歌を歌って、鏡に自分の姿を映し出すと、頭髪をしきりに触っている。
 そのシュトックハウゼンの姿は、あまりにも異様であった。



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 歌も凄いが、それはハッキリ言って大爆笑の光景である。
 ゼークトには決して見せる事が出来ない、プライベートのシュトックハウゼンの可愛らしすぎるパジャマ姿。
 ゼーゼマンは、またしても頭痛を覚えていた。
 「あの・・・閣下・・・」
 ゼーゼマンは意を決して、やや大きめの声で呼びかける。
 するとシュトックハウゼンの身体は、まるで電気が走ったようにピッキーン!!と硬直状態になった。
 そして、凄い勢いで、声のする方に顔を向けた。
 鬼のような形相だ。
 「うわ・・・!!な、何なのだ、卿は~!!ノックもしないで勝手に入ってくるとは失礼ではないか!!」
 声が上ずっている。
 更に言えば、完全にひっくり返っている。
 よほど驚いたのに違いない・・・。
 「あ・・・その、おはようございます、閣下・・・。先ほどから何度もインター・フォンも鳴らして、ノックも致しましたが・・・」
 さすがに、『勝手に入った』バツの悪さを感じて、書類を抱えたまま、うろたえてしまうゼーゼマン。
 「あ・・・なんだ、その・・・」
 シュトックハウゼンも固まっている。
 「・・・小官はずっと、外にいたんです。ですが、閣下。何度お呼び掛けをしても、お返事が全くないので、これは何か、不測の事態でも起きたのではないかと心配になった次第でして。それで、失礼を承知で中に入らせて頂きました。勝手に入りまして、本当に申し訳ありませんでした」
 ゼーゼマンが深々と頭を下げたので、さすがのシュトックハウゼンもそれ以上を言う事が出来ずに、決まり悪そうに突っ立っていた。
 シュトックハウゼンは、鼻歌を歌いながら髪の毛を神経質に触る事に没頭していたあまり・・・。
 インター・フォンにもノックにも、副官が入ってきた事にさえも、全く気が付かなかったのである・・・。


 「・・・それでは閣下、今朝はこの10枚の書類が急ぎですので、どうぞ、サインをお願い致します」
 気を緩めると笑いが出してしまいそうになるのを必死でこらえながら、ゼーゼマンは、デスクの上に静かに書類を置いた。
 「と・・・ところでな、ゼークトの奴はどうしているのだ?」
 パジャマ姿のままで椅子に座って、書類に手を伸ばしながら聞いてきたシュトックハウゼン。
 照れを隠す為なのか、神妙そうな表情を貼り付けていた。
 「ゼークト閣下は・・・」
 ゼーゼマンはそこまで言うと口を噤む。
 その様子に、怪訝そうなシュトックハウゼン。
 「ん?どうしたのだ?」
 シュトックハウゼンが促すので、ゼーゼマンは溜息を付きながら答えた。
 「ゼークト閣下は、『ここにはシュトックハウゼンのニオイが染み付いている。だから、ここは居心地が悪過ぎるのだ』などとおっしゃって、朝方、中央司令室に顔をお出しになりましたが、10分もしない内に出て行かれました。『後は卿等に全て任せる』と、言われましたが本当に困った方です・・・」
 「全く・・・何という男だ!!」
 シュトックハウゼンは歯軋りした。
 思わず、デスクをバン!と叩いてしまう。
 「・・・とにかく、あの方は、色々と文句をお付けになられるので、皆、閉口しておりまして」
 「ふん・・・全く奴らしい話だな。本当に短気などら息子は、こらえ性の『こ』の字もない訳か。それはそうとな・・・さっき熱を測ったら平熱近くまで熱が下がっていたから、明日には復帰出来そうだ。本当は今日から・・・と思ったんだが、軍医が恐い顔をして、大事を取って今日1日は寝ていろと言うのでな・・・」
 「・・・そうですね、小官もそれが宜しいかと思います。明日には復帰されるのですね。・・・それを聞いて小官、心から安堵致しました。やはり、我々の上官は、閣下でないと困ります。皆、それを望んでおりますから」
 ゼーゼマンの言い方が気に入ったのか、シュトックハウゼンは急に上機嫌になり、1枚目の書類に目を通してサラサラとサインを書いた。
 「では・・・1時間ほどしたら書類を取りに来てくれ」
 急に真面目な表情を貼り付けたシュトックハウゼンに対して、またもや、吹き出しそうになるのを必死でこらえるゼーゼマン。
 「はい、閣下。1時間後にまた参ります」
 「あぁ、今度は返事をするからな」
 「ヤー」


 笑いを押し殺した返事と敬礼で、司令官の自室を後にしたゼーゼマンは、部屋から出た途端に笑いが止まらなくなってしまった。
 幸いな事に、誰も通らなかったので、思い切り笑う事が出来た。
 ひとしきり笑った後で、ゼーゼマンは、先ほどシュトックハウゼンが歌っていた歌を思い出そうとした。
 どこかで聞いた事のある歌詞とフレーズだ。
 だが、それを聞いたのがいつなのか思い出せなかった。
 曲名や歌手さえも思い出せない。
 そして、やっと、立体テレビ<ソリ・ヴィジョン>で見たCMだと思い出した。
 歌っているのは、やたらと背の高いボーイッシュな女性歌手だ。
 背の高さと豪快さから、「Gott altere Schwester<ゴッド姉さん>」呼ばれているらしいその歌手が出ているCM・・・。
 映像は思い浮かぶのだが、あれは何のCMだったのだろう・・・肝心な部分が分からない。
 そして、ふと、オペレーター達にでも聞いてみるかな・・・と、そういう事にはやたらと詳しいという噂のシェーラーの顔を思い浮かべる。
 「うーん・・・思い出せそうで思い出せない・・・か。いかん・・・記憶力が低下しているのだろうか・・・考えたくもないが。・・・やはり、この歌に関しては、あの3人に聞いてみるとしよう」
 情けない独り言を呟いたゼーゼマンは、中央司令室に戻る為に、通路をゆっくりと歩き出した・・・。



Das Ende



 風邪をひいたシュトックハウゼンのお話です。
 最初のタイトルは仮タイトルで「ある謎の歌」でしたが、面白くもないので、「副官は見た!
~アレっていったい何の歌!?」にしてしまいました・・・最後まで遊んでます。
 それに、当初はゼークトを出すつもりはなかったのですが、私自身が消化不良を起こしそうだった為、急遽、彼の出番を作ってしまいました。
 2人が直接相対するわけではありませんが、それでも出すとヤッパリしっくりいく・・・この2人はコンビなんだなぁ・・・と改めて認識しました。
 さて、シュトックハウゼンが歌っていたのは、某発毛専門会社がかつて流していたCMソングだったりします・・・。
 和田アキ子さんが高らかに歌っていました。
 最近のこの会社のCMは、「発毛コンテスト」だったりしますね。
 因みに、このCMが流れた時のナレは森功至<もり かつじ>さんです。
 銀河英雄伝説で、銀河帝国軍のウォルガング・ミッターマイヤー元帥をやっていたあの森さんです。
 森さん・・・とっくに還暦を過ぎているのにあの美声。
 けっしてオジサンをやってはいけない声。(いや、オジサンも渋くて好きだけど、森さんだとダンディなオジサンですよね)
 昔から声が若々しいのは凄いわ。
 30年以上前のアニメのヒーローの声も、今の声もほぼ同じ若々しさ。
 いつまでも若い役が出来るのは素晴らしい・・・だって、ミッターマイヤーは森さんの半分以下の年齢だもんなぁ・・・。
 そういう意味ではロイエンタールの若本さんも一緒か・・・森さんと同じ歳だから。(森さんが1945年7月生まれで、若本さんが10月生まれ。因みに8月に太平洋戦争が終わったのね・・・)
 そうそう、森さんと言えば、10年ぐらい前かなぁ。
 「森さんの、ミッターマイヤー以外でとっさに思い浮かぶ別の役は何?」って友達と話していて。
 20代ぐらいだと、「めざましテレビ」や報道番組のナレとか、「いきなり黄金伝説」なんかのバラエティーのナレを言ったりしました。

 最近はアニメよりもナレーションの方が多いから仕方ないのですが。
 30代になると、即座に答えるのが、ガンダムのガルマ・ザビ。

 ただ、ガルマに関しては20代も認識してましたね。
 そして、40代だと、ガッチャマンの大鷲の健とか。
 更に上の世代になると、「サイボーグ009」の「009」に。←第一作でモノクロ。因みに森さんのデビュー作。
 私は、大鷲の健とガルマ様を挙げました・・・キャハハハハ^^@
 他にもね、「ハイカラさんが通る」の伊集院忍少尉とか、キューティーハニーの第一作目の早見青児とかも森さんですね。
 「エースをねらえ!」の藤堂さんも森さんだし、「戦闘メカ サブングル」のビエル様とか・・・二枚目が多いのが森さんの特徴。
 若本さんの場合は、アナゴさんって言う最強の三枚目キャラがあるんだけどな~★←ってか、色々声を使い分けてて凄い。
 あ、そうだ。
 歌詞の部分で補足があります。
 帝国軍はドイツ語なので、英語の歌詞の部分をドイツ語に置き換えて、最後の歌詞を若干変更してあります。
 本当は歌詞に「黒髪」と入っていたのですが、さすがに黒髪では妙なので、「自分の」を「自分自身の」にして、「黒髪」と単に「髪」にしてしまいしました。
 因みに、このCMソングの歌詞は、この会社のHPのCMコーナーに載っています。
 CM自体も視聴出来るので、暇があったら聴いてみて下さい。
 
http://www.reve21.co.jp/cm/
 
 アッコ姉さんの歌の替え歌なんですが、原曲ともども、かなりソウルフルで私は大好きです。
 これを永井一郎さんの声で変換してみると、自室で髪を触っていた、シュトックハウゼンの気持ちが若干・・・分かるはずです・・・爆!!