前回の天使についての記事に翼のデザインになった流れを書かせて頂きました。

☆under the Polar Star☆2013年1月9日記事「切り口は...そのデザインから。」
http://ameblo.jp/usaginoma/day-20130109.html

で、この翼...最初は装飾的な翼にとどまっていたのが、14世紀以降は画家の方たちの努力により、実際に空を飛んでいる鳥の翼の構造を持つようになりました。
こういう描き方&表現の方法の歴史を知ると、なるほど!と思います。
これによって、より美しさを際立たせているのだなぁ~と実感が伴います。

さて、その翼を持つ天使像が定着し始めたのは4世紀から。
翼は超俗性、神聖な存在、スピード、地上と天上界を行き来する能力を表現していることになるのだそうです。
※1プラトンは、翼は魂の上昇、という性質を持ち、それを象徴するもの、としているそうです。
「パイドロス」の中では、

 翼こそはもっとも、神にゆかりのある性質を分けもっている。
 
と書かれているそうです。
神にゆかりのある性質とは、美しきもの、知なるもの、善なるもの、そしてすべてこれに類するもの、としています。
翼、という表現は神の代弁者としての天使を描くには最適な構造なんですね...。
それまでの神々に翼がつけられていたり、鳥の頭や体が表現されているのも、空を自由に駆け巡る姿は神を容易に想像させてくれるからなのでしょうね。
人間の体の構造は、ある意味とても不思議ですが、どうしても翼を持つことは不可能ですものね...。
体が重すぎる...。
骨格も立派です。(鳥さんは華奢な骨を持っていますもんね)
その重さを超えるために、絵画や彫刻の中では説得力のある翼を表現することが大事になってくるんでしょうね。

で、天使の絵画やデザインを好まれている方はご存知でしょうけれど...。
翼を6枚持つ天使たちが存在していますよね?
あれ...不自然に感じませんか???
下手すると、
こんなんとか...つみれ
あんなんとか...ヒャクメまじん
ちと妖怪じみているようなデザインに思えてならない...のです。(すいませ~~ん汗
中には6枚の翼を持ちつつも、完全に人間と同じ肉体の描写もありますが、顔だけに翼6枚デザイン、けっこう目にします。

イーヴリン・モーガンの"Our Lady of Peace"
☆under the Polar Star☆-Our Lady of Peace
聖母マリア様の周りに6枚の翼を持つ天使さんが...。
この天使さんは智天使なのですが、6枚の翼です。
どうも...熾天使なのか智天使なのか...というのは、なかなか分かりづらいようですね...汗
智天使は4枚の翼なのか、6枚なのか...。

熾天使の姿については、
炎のような真紅の6枚の翼を持ち、燃え上がる剣を持ち、裸足である。
との記述が図説 天使百科事典 (ローズマリー・エレン・グィリー著)にあります。
裸足...だけですか?説明...。
体には何も身に着けてないのかどうか、というより足に何も履いてない、という方が重要なんでしょうか?という変な疑問がわいてしまいます。
なんでも...
6枚の翼すべてを使って飛んでいるわけではないそうで、2枚で頭を隠して、2枚で体を隠し、そして残りの2枚で飛んでいるそうなんです。
という訳で、体がどうなっているかという描写をする必要がない...というか、描写できない、ということになるのでしょうか...。
トルコのアヤソフィアの壁画に描かれている熾天使は、6枚の翼のみが描かれていて、顔も体もデザインされていないので...この方が、説明を忠実に描いた姿としては正解なのかもしれませんね...。

☆under the Polar Star☆-アヤソフィアのドーム
分かりづらいですが、アヤソフィアのドームには熾天使が描かれています。
その姿は6枚の翼で構成されたもの。

熾天使はセラフと呼ばれ、旧約聖書に登場している天使。
(セラフは単数形で、複数の熾天使を言う時はセラフィム、となります)
なんでも、セーラーフとは蛇を意味する言葉なんだそうで、蛇の胴体を持つ生き物だと解釈されてもいるそうですへび
熾天使は神の玉座を取り囲みながら飛び回る天使たちで、大勢で神の側におられるのだとか。
全員で昼も夜も絶えず神を讃え、歌っているそうで、燃えるような光を反射しているのだそうです。
神への愛と情熱で燃え盛っておられるのだとかメラメラ
赤い翼とか、赤い衣装、という表現があるので、赤が熾天使を象徴する色なんでしょうね。
熾天使の姿はデザイン的に私たちが「天使さん」としてすぐに連想できる姿ではない可能性がありますね...。
どう描くか...とても難しいなぁと思います。


天使の階級について。
熾天使は天使の階級の中でもトップに当たる天使。
厳然たる階級が存在しているところに、歴史を感じます。
とにかく、調べると色々な階級理論があるようで、困るくらい...。
その中で、もっとも支持されている、といってもいい※2「天上位階論」での階級を参考にしますと...。

上級三隊
 第一階級――熾天使
 第二階級――智天使
 第三階級――座天使
中級三隊
 第四階級――主天使
 第五階級――力天使
 第六階級――能天使
下級三隊
 第七階級――権天使
 第八階級――大天使
 第九階級――天使

という九階級になるそうです。

※1
プラトン
古代ギリシャの哲学者。
ソクラテスの弟子。

※2
ディオニュシオスの「天上位階論」
5世紀に偽ディオニュシオス・アレオパギタが預言者たちの幻視や新約聖書における天使の記述を研究して、階級別に分類したものをまとめた著作。
この著書発表以後、天使の階級、象徴、役割に関する議論、研究が盛んに行われることになったようです。
何故、偽とつくのかというと...他の方で同じお名前の方(アテネの最高法院の議員とも殉教聖人の聖ドニとも...)と混同されていたからだそうです。
シリアの神学者らしい、ということになっているそうです。


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