映画「大いなる不在」(2024)舞台挨拶つき上映に行きました。
近浦啓監督の舞台挨拶つきだった。
初めて観る監督の方でした。まだ長編映画は2つ目みたい。
いや、ひまだから、映画でも行くかと思ってチケット取ったのよ。どうせならまた舞台挨拶つきがいいかなって。前にこれの予告見て面白そうだったなとか、そのくらいでね。
そしたら急にいろいろ予定が入ってきてね。でも取ったらキャンセルできないから行くよね。
でも行ってよかったー。面白かったー。学びもある。
まずは感想。
原作のない話なんだなというぐらいと、予告編を観て、殺人事件じゃないミステリーって感じだったのが興味深かった。
ある日、父親の逮捕の知らせを受けて、主人公が何十年ぶりに故郷へ行くところから始まる。
その後父は認知症で施設に入るが、再婚して30年連れ添った奥さんがいない。どこにいるのか? 生きているのか、死んでいるのか?
現在と過去のエピソードが交互に出てきて、だんだんいろんなことが分かってくる。
今見てるのが現在なのか過去なのか、自然にあちこち行ったり来たりするので、父の奥さんが出てくる=過去、主人公の奥さんが出てくる=現在みたいに、出てくる人で判断するしかない。こういうのも意図的なんだろうなと思う。皆まで言わないみたいな、こういう映像表現もいい。
この父、元物理の教授で、屁理屈に聞こえることを言う、プラス認知症だから結構なあれですね。
「普通なんかない。平均された概念でしかない。皆一人一人特殊なのだ」とかは、おっ、と思うけれども、実際に言われたらめんどくさいよな(笑)
いろんな解釈が可能ということだったけれど、私は、愛の物語と思った。父が離婚して再婚した奥さんとの愛の話だったなって。多分、主人公夫婦も仲がよいので、そこもあるかな。
父の昔のラブレターの朗読が、とてもよい。
途中まで、どの地域の話なのかがよく分からず、「飛行機で東京へ」って言ってるから東京から遠いんだなとか。それから、九州なんだーってだんだん分かってくる。
桜が咲いているシーンがきれいだった。
最後も、謎は謎のまま残っていて、この、皆まで言わなさがかえって潔いのかなって思った。
近浦啓監督挨拶。
写真撮っていいって言われなかったから撮れませんでした。まあ真摯によく話してくださる方でしたね。
前回、仙台に来たのは2020年3月末、長編第1作のときだった。その直後の4月初めに、父親の逮捕の知らせを受けて、、、って話し始めたので、そうか、監督ご自身の体験をもとに作った映画だったのかと知る。
プライベートな物語。
2作目ももう書いていたけど、やめて、こっちにすることにした。
実話がもとになってるけどフィクション。
何と35ミリフィルムで撮ったんだそうです!
すごい。
前に、中村義洋監督が、2010年「ゴールデンスランバー」でフィルムは終わったとおっしゃっていたから、これはすごいことだ。
現像するまでどんな映像になっているか全く分からない。
そして、ここフォーラムには35ミリ映写機がある。すばらしいな。
サブスクには出さない。劇場で観てほしい。とおっしゃる。
坂を撮るのは難しい。立体的なものを映像、2次元にすることの難しさ。
構図、撮影の工夫など。
最初の主人公夫婦が坂を歩いてるシーンで、自然に風が起こった。いい絵になった。
前に聞いた映画の話では、坂のシーンは印象的で、人気のロケ地とのこと。そうなんだ、難しいのですね。
曖昧さについて。
昔の映画はジャンルがきっぱり分かれてた。ジャンルが決まったら、その様式美というか、その枠にはまったものしか描けない。
そこを壊そうと、映像作家たちはこの数十年やってきている。
普通こうなるだろうというのをずらす。それがリアルになる。
主人公が「お父さん」と一度だけ言う。そのときに親子が逆転した。
そのシーンの意味を演者はちゃんと分かってくれた。
認知症の部分がとてもリアル。ここがフィクションに見えてしまうとダメ。
藤竜也さんの演技がすばらしかった。
前に認知症の役をやったことがあり、そのときにかなり研究したそう。
こういう話を聞くにつけ、思うのは、こんなのゴムとかクローンじゃ無理でしょう。ということ。どうなっているのか、本当に知りたい。
おしまい。
ありがとうございました。
もちろん、パンフレットを買ってサインをもらったり、直接お話ししたり、なんてことはしない私です。
「the3名様」これも観に来るよー。