1年待って順番が来た。

春樹氏といえば、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」が好きだったなあって思っていたら、これは、その「世界の終り」の、その「街」の話なんですね!

影を離してその街に入る。一角獣がいる。図書館で古い夢を読む。

あの話の続きというか、別バージョンというか。

作家は、書きたいテーマというものが、それほど多くなくて、同じテーマで書き直したいと思ったりもするのだよね。

 

そうか、これが完全版かって思って楽しく読みました。

今読むと思うのは、この街は、死後の世界的な感じなのかなー、影がない人ってところから。でも、そうとも言い切れない感じもあっていい。

「常識」では考えられないこと、時空を超えてあちこちに存在したりするのとか、パラレルワールドが同時に存在しているとか、そもそも時間がないということとか、そういうことも今は分かるというか。

望めば手に入るとかもそうね。

 

あとは、やっぱりなって思うのは、作中の人物は皆「私」っていうこと。大体そう思って読むとハマる。この著者は特に。

ぼくも、きみも、私も、君も、少年も、みんな自分。

実生活でもそう思えたらいいのにって思うことある(笑)ワンネス。

 

最初は、第1部で書き終わったと思っていたけれど、その続きが浮かんできて、2部、3部と続いたそう。すごく読みごたえがありましたね。厚かったし、読み終われるか不安だったけど、一気に読めた。

いろいろ深読みしようと思ったらできるけど、それでどうなる、どうなる、そうきたかーって読み進めるのが楽しかった。

特に、少年のあたりでは、そうきたかと思ってうれしかった。うちの子みたいな子にも、ぴったり合った世界があるといいなっていう思いも含めて。

 

余談なのか、わざわざハーメルンの笛吹きを「パイドパイパー」って言うことなくない?

ピロウズに同タイトルのアルバムがあるよね。ちょっと気になった。