彼がどう言った気持ちでこれをプレゼントしてくれたのかは分からない。
だけど俺たちにとっては最高の贈り物であることには違いない。
その大切な作品は、翔君が使用しているピアノの部屋に保管している。
本当はキチンと飾りたいのだが、どうしようか迷ってて。
とりあえず空調がいつも効いてる場所にと、ここに保管したんだった。





「何やってるかな。あの二人」

「ついこの前まで海外に行ってたようだよ。日本の古典が終わったら海外でするって言ってたし。だけどこのご時世だから何箇所かに縮小されたみたいだね」

せっかくの海外進出なのに勿体無いが、仕方ないのだろう。
ただ雑誌を読む限り、彼は海外に積極的ではないような気がする。

Jの作品って偏ってない。
あらゆるものをどんどん取り入れる手法なので、てっきり日本に拘ってないのかと思ったが、それがどうも逆らしいのだ。


「何度見てもいいね。この作品。Jの気持ちが伝わってくる気がする」

「うん。この人を大事にしてるんだろうな。でもモデルが一人の作品…REDASTERの方のね。これって…この頃は多分両思いじゃないよね?なんか作家の切ない感じも伝わってくるし」

モデルの彼はこっちを見てるようで、でも違うようでもある。
おそらくだけどJはこの頃、彼に片想いしてたんだと思う。

「そう?そうなのかなあ」

翔君は作家の気持ちはよくわからないようだった。
でも俺が思うに。
多分だけどJが彼を好きになり、口説き落としたんだと思う。
俺の直感だけど、でも自信はある。
何故ならJも俺も多分同じだから。

自分の方が先に好きになり、口説き落とした。
だから、何か問題があった時には自分の方が想いが重いのだろうと途端に自信がなくなる。

まあ、今現在Jがどんな気持ちかはわからないけど。
でもそんな期間があったと思うんだ。