遠野のカッパ話のまとめ中です。
これも、遠野のカッパの悲劇の一つでしょうか…
上郷村の何某の家にても河童らしき物の子を産みたることあり。
確なる証とてはなけれど、身内まつ赤(まっか)にして口大きく、まことにいやな子なりき。
忌(いま)はしければ棄(す)てんとてこれを携へて道ちがへに持ち行き、そこに置きて一間ばかりも離れたりしが、
ふと思ひ直し、惜しきものなり、売りて見せ物にせば金になるべきにとて立ち帰りたるに、早取り隠されて見えざりきといふ。
上郷村にも河童らしき物の子を産んだ母親がいたそうです。
確かな証拠はないのですが、
身体は真っ赤で、口は異様に大きく、まともに見られた姿ではなかったといいます。
忌まわしいので捨てよう、という事になり、家の者が赤子を連れ出し。
村はずれの四辻(十字路)まで来ると、そこに置きざりにしました。
しかし一間(1.8メートル)ほど離れてすぐに、
売って見せ物にすれば良い金になるに違いない、と、考え直し振り向きましたが、
もうすでに、誰かに連れていかれたようで、
その姿を見る事はできませんでした。
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身体が真っ赤なのは、赤ちゃんだから普通の事だと思うのですけどね…。
見世物にしようだなんて、
なんて酷い事を考えるのでしょう。
辻…四辻とも言いますが、
十字路には、異界への扉があると言われているのだそうです。
産まれたすぐ後に捨ててしまうような酷い人間の住む世界より、
仲間といた方が、幸せなのかもしれません…
余談ですが、
うさ吉の好きな漫画家さんが、
辻を題材にした漫画を描いています。
心温まるホラーです(笑)
コレを読むと、辻というのは、とても不思議なところなのだなぁと、思えます。
つづく。