<神戸大サークル乱痴気騒動>
「このクソったれが!」
宴会場で小便、廊下には大便、
体にトイレットペーパー巻いてゾンビごっこ ・・・
それでも大学生サークルを受け入れざるを得ない
老舗旅館のせつなすぎる事情
集英社オンライン 2024年3月24日(日)
12時04分 配信
破いた障子から顔をだす「BADBOYS」の学生(左・流出した「X」より)と
渋谷で取材に応じた学生
「 旅館の物品荒らしすぎてしぬ 」18日夜にX ( 旧Twitter ) に投稿された画像と動画に映っていたのは、神戸大学の非公認バドミントンサークル「 BADBOYS 」に所属する複数の学生たち。合宿先の旅館とみられる建物内で、胴上げされた学生が天井に穴を開けたり、障子を破って顔を突っ込んだりと、悪質で幼稚な迷惑行為を繰り返していた。
天井に穴を開け、灰皿をボコボコに…不適切にもほどがある「BADBOYS」の愚行写真
「 これ、おしっこでしょ?」と問い詰めても「 いや違う 」
神戸大学といえば、毎年全国からの受験者があとを絶たない難関国立大学として知られている。一部報道によると、「 BADBOYS 」が5年前に宿泊した旅館でも、備え付けのシャンプーを廊下にまき散らしたり、クローゼットの中に落書きをしたり、花瓶の中にタバスコが入っていたりと、迷惑行為を繰り返したことで出入り禁止になったとの証言もある。
「 迷惑行為が撮影されたのは、富山県砺波市にある老舗の温泉旅館。2017年に楽器演奏できるスタジオを設置しただけでなく、一泊一万円以下の低価格に設定したことで、関西や北陸の学生の宿泊先として人気が高かった。
現在は、該当の学生たちが加入していた保険をもとに修復されていて、弁済について協議が進められているようだ 」( ワイドショースタッフ )
いくら大学生のサークル合宿とはいえ、 ” 若気の至り ” では済まされない今回の一件。♯1では渋谷に集まる大学生を取材し、令和の大学生サークル事情について報じたが、旅館、ホテルの経営者たちはどう思っているのか ―― 。
千葉県内でおよそ30年にわたり営業を続ける、旅館の店主( 60代 )はこう語る。
「 ネットニュースで見たときは『 こんなバカなことするヤツがいたのか 』って驚いたよ。お酒の勢いとはいえ、あれって完全にわざとやってるとしか思えないし、それをSNSにアップするとか旅館をバカにしているとしか思えない。ウチだったら、速攻で警察呼んで被害届を出していたね 」
この男性が経営する宿泊施設は、敷地内に体育館とテニスコートを完備の上に、近くには総合体育館もあることから、多くの大学サークルが合宿に押し寄せる。
「 この時期( 春休み )の収益のほとんどは大学のサークルだね。そういう意味では大学生のおかげで経営が成り立ってる面もある 」と答えつつも、過去に何度もトラブルを経験しているという。
「 一番多いのが、酔っぱらって寝ゲロして布団や畳を汚してしまう子だね。それとわざとじゃないけど、酔った勢いで障子や壁に穴を開けてしまう子もいて、修繕費として5万円請求したこともある。まあ大学生は本当になにをやらかすかわからないし、なかには野外 ( 敷地内 ) で ” シテた ” 子もいるからね( 苦笑 )」
しかし、ほとんどの大学生はトラブルを起こした翌日には「 本当にすみませんでした 」と自分から謝りにくるという。
この男性も、「 大学生を相手にしてる身だし、ある程度のことは大目に見ている 」と語るが、なかにはトラブルを起こしても認めない学生もいて頭を抱えることもあるという。
「 過去には宴会場でおしっこしたヤツもいてさ。掃除しようと入った瞬間に『 それっぽいニオイ 』がしたし、畳が変色してたから、すぐに『 これ、おしっこでしょ?』と問い詰めたの。
でも、『いや違うですね』とか『やってないです』なんて認めないヤツもいたし、20人で予約してたのに、30人くらいで泊まっていてとぼけてきたサークルもあった。そういう子たちは、どうせまた来年も同じことをする可能性があるので『出禁』にしちゃうね」
海水浴ブームで栄えた場所が今は観光客も臨海学校も来なくなり ・・・
また、同県内で20年近く営業する、総合スポーツ施設を併設したビジネスホテルの代表も「トラブルを起こすのは決まって同好会(サークル)の子たちね」と肩を落とす。
「廊下や室内に穴を開けられたりすると、修繕費をいただいて業者を呼ぶしかないんだけど、壁のクロスの在庫がなかった場合なんかは、直すのにもかなり日数がかかってしまって…。
他にもテレビの液晶を割られたこともありますし、パンツ一丁でトイレットペーパーを体に巻いてゾンビみたいにして笑いながら廊下を歩いていた子もいたみたいです。大学生とはいえ、いい大人なんだから、もう少し節度を守ってほしいです」
しかし、そうした迷惑行為に悩まされながらも、大学生を受け入れざるをえない状況に立たされている宿泊施設もある。「BADBOYS」が宿泊した旅館のように、音楽ホールなどが併設された千葉県内の民宿の店主は、「彼らのおかげで営業を続けられている面もあって…」とため息をつく。
「ここら一帯は、もともと海水浴ブームで栄えた場所で、ウチも創業当時は音楽ホールなんてない、ただの民宿だった。それでも当時は都内からの海水浴客や、臨海学校に訪れた生徒たちで賑わっていたんだよ。だから昔は大学生のサークルが来ることなんてなかったし、ドンチャン騒ぎでも起こそうもんなら『おら、出てけ!』とすぐに追い出していたと思うね」
しかし、水難事故が多発したことで、海水浴ブームが下火になると、臨海学校を取りやめ、林間学校にシフトしていく学校も増えていったという。そんなときに「これからは音楽を売りにしよう」と思い、作ったのが音楽ホールだった。
「ピアノやドラム、ティンパニーといった持ち運びしづらい楽器も常備することで、吹奏楽部のほか、大学のバンドサークルの合宿所としても使われるようになり、なんとか今日まで続けてこられた。
もちろん彼らによるトラブルは尽きないし、去年なんて廊下でうんこしたヤツまでいて大変だったよ。それでも修繕費だけもらえたらいいかなって、ある程度割り切ってやっていくしかないんだよね」
「大学生の受け入れをお断りさせていただくことにしました」
都内近郊で”ダイビングサークルの聖地”との呼び声高いのが、伊豆諸島にある東京都大島町。夏になると、多くのダイビングサークルが合宿で訪れるというが、大島町で民宿を営む男性も「やっぱり大学のサークルを受け入れる側は大変だよね」と肩を落とす。
「ダイビングサークルの中には、いわゆる“飲みサー”も多くて。もちろん最初に『飲むのはいいけど、10時以降は声のトーンを下げてね』とか『ここでイッキはするな』とか『もし酒で倒れてもここには大した病院はないからね』と言ってるんだけど、トラブルは尽きません。
それこそ障子を破られたこともあるし、寝ゲロや寝グソをされたこともある。サークルに利用してもらえるのは助かるし、はっちゃけたい気持ちがあるのもわかるんだけどね…」
そのいっぽうで、近年はSNSなどの影響もあり、大島町にはサークルや部活の団体客だけではなく、サイクリングや登山目的で訪れる観光客も増加。そこで同町でビジネスホテルを営んでいる女性も、2020年にサークルの学生の受け入れをやめたという。
「一番の理由としてあるのが、ご近所迷惑ですね。大島という土地柄、これまでは部活動のほか、ダイビングサークルや、夜のコンパをメインにやる“飲みサー”も多く受け入れてきましたが、みんな朝までギャーギャー騒ぐ。
それこそ朝の4時や5時までうるさいので、ご近所に申し訳なかったし、ちょうどその頃に主人が倒れたということもあり、『もう大学生をさばく体力はない』ということで受け入れをお断りさせていただくことにしました。それでもなんとく経営はやっていけてますから」
時代とともに変わりゆくサークルの合宿事情。どうか今回の一件が歯止めになってほしいものだ。
取材・文/集英社オンラインニュース班