37『脇役、多忙。』五月 ウサギ バイト | 脇役生活

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ウサギの作業日報
同居人?

大手音楽会社からのオファーを断るなんて…なんて、もったいない!!


これがウサギの、いや、コムの家族や友達、まわりの人たちの思いだ。


しかし、ウサギは何かしらコムに期待していた。

中流階級で育ち、中肉中背のさわやか少年、親のレールの上をマイペースに歩き、平均以上の結果を誰よりも早く出す。

行き当たりばったりで生きてきたウサギには無いものばかりだ。


「はい、ウサちゃん。お土産」

コムから小さな箱を受け取る。

「ありがとう…わ、ずっしりくるなぁ」


見た目より重たい箱の中身は老舗菓子屋の“ようかん”だった。

大都会のお土産といえば、バナナ菓子、今ならラスクが流行っている。

たくさんのお土産のなかから、あえて重厚なようかんを選ぶコムを想像すると、にやけてしまう。


「ビッグ就職説明会はどうだった?」

「うーん。大手の会社説明は良かったよー。でも、そういう所は、某一流大の学生しか相手にしてないっていうか…田舎出身は相手にもしてくれない」

と言い、コムはため息をついた。


「そっかー」

「それに…スタートが遅すぎるって実感したよ」

「え?まだ5月だよ?遅いの?」

「早い奴らは3年生のうちから企業説明会に足を運んでる」

と言いながら、コムはポケットから携帯を出した。

携帯を開き、操作をしながら「またか…」とつぶやくコム。


「いたずらメール?」

興味本位で聞いてみた。


「いや、さっき説明会でエントリーした回転寿司グループから」

「さっき!?」

ビッグ就職説明会は、飛行機を乗っていく大都会にある。

まさかの答えが返ってきた。

「ウサちゃんに言ってなかった?おととい大都会に行って、昨日、今日と説明会だったんだよ。夕方の便で帰ってきて、ナリちゃんの車で直接バイト来たんだ」

「ええぇぇ!今日も休むんじゃない!?普通はさぁ!」

飛行機で移動する日は、たくさん疲れるに決まっている。

しかし、コムはわかっているのだろう“自分の抜けた穴は大きい”と。