おふくろがオレの分身と出掛けてしまった!
しかも、分身ときたら、オレのお出掛け用のジャケットと、大学に履いて行くGパンよりレベル上のジーンズを装着していた。
あれは、丸井今井でよそいき用としておふくろに選んでもらったのに!!
うわあぁぁ…。
何をしでかすか、オレ!!泣きたいぞ!
…。
あっ、オレか?
焦っている自分に気づき、ナベは我にかえった。
『オレの分身はオレなんだから…別にいいんじゃないか』
『オレの事だ、大それた事もせず、適当にやってるさ』
それは、ナベの後ろに立つ分身2人がしゃべった言葉で、ナベ自身も心に浮かんだ言葉だった。
振り返り、分身2人を見つめるナベ。
ニカニカ見つめ返すナベの分身たち。
「何笑ってんだよ」
ナベも笑いながら分身の腕を押す。
『おっ♪』
『よぉっ♪』
ナベ達のまさぐりあい?いや、タッチ合戦が始まる。
「本当にそっくりだな」
『オレだもんな』
分身しても、オレはオレ!
ここに居ないオレも、オレなりにうまくやっているだろう…。
用事がなくなったナベは、駅まで歩くことにした。
もちろん用があるわけではないが、部屋とパソコンの整理を分身にまかせている横で、オレがだらけてたら、自分にすまないからな。
オレに気を使うのもなんだし…見えないところで怠けさせてもらう!!
秋の始まりの季節。
ふと、公園に寄り道した。
木を見上げて思う。
行くあてもなく、歩くなんて…こんなんならバイト行きてーわ!
そして、ナベの体内時計が発動。
小走りで駅に向かう。
別に急いで行く用事はないが、なんせ田舎。
電車は一時間に一本のみ。
ふうふう。
顔を突き出しながら走るナベを見て、ベンチに座る女子中学生たちがDS越しに笑い見ている。
笑え、笑え、JC共!!