如月優衣さんの出演する舞台「カストロ映画館とセント・ニコラウスの謎」を観てきました。
●概要●
公演名:チームギンクラ第11回本公演「カストロ映画館とセント・ニコラウスの謎」
日付:2018年12月12日(水)~12月16日(日) 全10公演
場所:TACCS1179
料金:前売4,000円 当日4,500円
作・演出:檜山豊
キャスト:
太田純平/堀晃大/佐藤雅美/行田裕哉/石塚彩花/
南大介/鈴木のぞみ/Romi/如月優衣/川村大/神坐慶/安澤直人/阿部翔
※敬称略
●登場人物とストーリー●
(1)登場人物
・穂崎啓[佐藤雅美]
カストロ映画館の2代目館長。
先代の館長のようになれないことを悩んでおり、自分に自信がない。
・高倉愛林[石塚彩花]
カストロ映画館の従業員。
仕事にやりがいを感じられず、しょっちゅう仕事をさぼる。
・邑野保[行田裕哉]
カストロ映画館の従業員。嘘つきでお調子者。
・島津義弘[阿部翔]
カストロ映画館の従業員。真面目な従業員であり、映画館への愛情も深い。
・穂崎飛鳥[如月優衣]
穂崎啓の妹。20歳を過ぎた大学生だが、反抗期真っ只中である。
・北見[南大介]
カストロ映画館の常連客。お調子者おじさん
・杉山[堀晃大]
謎解きイベントに参加するためにやってきた客。すぐ怒る、すぐ諦める、根性悪い。
・箕島[太田純平]
謎解きイベントに参加するためにやってきた客。いわゆるオタク。自称謎解きハンター
・大門公彦[Romi]
売れない小説家。代表作は『オムライスの事件簿』で、直木賞みたいな賞みたいなものを受賞みたいなことをしたことがある。
・東原[鈴木のぞみ]
編集社に勤めており大門を担当する。大門の才能を信じている。
・沼田[神坐慶]
クリスマスのカップルイベントに参加するためにやってきた客。
5年前に別れた彼女と再会するために、カストロ映画館を訪れた。
・玉造[川村大]
カストロ映画館の常連であり、飛鳥の大学の同級生で同じゼミに所属する。
映画監督を目指しているが、お金がないので映画を観ることができない。
・美々[安澤直人]
オカマバーのママ。思ったことをズバズバ言う性格。
※敬称略
※役名等が公表されていないので、誤記等お許しください
(2)ストーリー
ここはカストロ映画館。昔ながらの映画館で客足は遠く、館内は閑古鳥が鳴いている。
先代の館長が亡くなり、孫である啓が2代目の館長として日々奮闘している。
時は12月24日、啓は"オールナイト カップル限定 無料で映画見放題"というクリスマスイベントを開催する。
案の定、お客は1人も・・・と思いきや続々と人が集まってきた。
でも言っていることがおかしい。
彼らのもとには"セント・ニコラウスの謎"という謎解きイベントの案内が送られていたのである。
お宝に興味津々な客たち。
自分のイベントをつぶされ、怒り心頭の啓。
かくしてお宝/犯人を求め、カストロ映画館で謎解きが始まった。
最初に解くべき謎は、案内メールに書かれていた暗号文。
【暗号文1】
亡霊たちの部屋へ行き、祝いの歌を探すべし
【ヒント】
亡霊たちを別の言い方にせよ
【答え】
資料室へ行き、クリスマスキャロルを探せ
注1)亡霊=死霊→資料
注2)クリスマスキャロル=映画の名前
クリスマスキャロルのフィルムを探し出して開けると、次の暗号文が入っていた。
【暗号文2】
それは夜にやって来る。
その象徴の向こう側へ行き
祝いの歌の光を見つめよ
【ヒント】
それは夜にやって来る をブックドラッグせよ。
【答え】
劇場へ行き、クリスマスキャロル(の映画)を観ろ
注3)ブッグドラッグ=本 薬=翻訳
注4)"それは夜にやって来る"を翻訳すると"IT COMES AT NIGHT"
注5)IT COMES AT NIGHTは映画の名前で、象徴はあの世への扉として表現される赤い扉
注6)カストロ映画館にある赤い扉は、劇場の入り口の扉のみ
この謎を解明している途中で、もう1つの謎が解明される。
それはこのメールの送り主。ヒントはメールアドレスに隠されていた。
送り主のメールアドレスは"kasutoro-h"
-(ハイフン)の後ろのアルファベットは、従業員の頭文字である。
島津はs、高倉はt、邑野はm、そして穂崎啓はk
ということはhは・・・
"穂崎のh"
これは先代の館長のこと。
時間指定でメールが送信されていた。
そう、これは先代の館長がしかけたイベントだったのだ。
この映画がみなへのプレゼントであることが告げられた後、
数々の奇跡がここで起こっていき・・・
日付は変わってクリスマス、先代から1通のメールが届く。
【件名】開かれし者へ
このメールのパスワードが"k"であることを大門先生が見事に推理(先生完全復活!)
注7)「啓」を訓読みすると「ひらく」
そこには先代から啓へのメッセージが書かれていた。
"今、目の前にいるお客様たちが
私からの最後のプレゼントだ。
映画の持つ力を信じ
カストロ映画館を守っていってほしい"
翌日も同じ顔触れが映画館に集い
妹の飛鳥も従業員に加わったところで、物語は終わりを告げる。
●感想●
とても面白かった!ひっきりなしに笑っていた気がします。
特に北見を演じる南大介さんの存在感と面白さ。
映画を見てるはずなのに、「みんな観ないのー??」とひょこっと現れる南さんに何度笑わされたか。
「暇~!!暇~!!」と箕島をいじるシーンも爆笑でした。
千秋楽公演で見せた邑野の2次元彼女のモノマネも大爆笑ものでした。
感動!映画館を舞台にして起こる数々の奇跡に、とても心が暖まりました。
人生を終わらせかけた北見は、先代によって救われた。
啓の言葉や姿勢によって、
高倉は前向きに仕事に取り組むようになり、
杉山はカリカリせず優しくなった。
簑島も人に心を開き始め、
邑野は優しい嘘をつくようになり(←嘘つきは直っていない)、
その嘘によって沼田は救われた。
東原が信じ続けた大門先生は、最後に完全復活(やったね!)
飛鳥の言葉で、玉造は人に心を開き甘えるようになった。
これが全部クリスマス・イブ1日で起こったなんて信じられない!
カストロ映画館がみんなの居場所になり、
そこに皆が笑顔で集う。
その光景を感動と言わずに何というのだろう?
最高のクリスマス物語だったと思います!!
個人的に好きなシーンは、出版社との契約を打ち切られようする大門先生が出て行った後の東原とみんなの会話のシーン。
大門は絶対に復活すると皆に語る東原のセリフ、
「担当だから信じてるんじゃない。先生だから信じてるんです。」
この東原みたいに、誰かをとことん信じられるって凄いし、そんな関係が素敵だなとジーンときました。
東原が食事に向かった後、啓が
「東原さんがついてるから大丈夫でしょう。」
誰かを思う気持ちって、人にも伝わるんですね!凄い!!
最後に、ゆいぽんこと如月優衣さんの演技力、改めてすごいなと思いました。
今回のゆいぽんはとにかく笑いをとってきて。
登場シーンから反抗期全開!「よろしくおね」とちゃんと挨拶しない反抗期少女。
北見に向かって「うざい!」と直球の言葉。
その後”もう帰るの?”と聞いてきた啓に「来たばっかりで帰っちゃダメなの?」とつっかかり、挙げ句の果てには「帰らないし!」と爆笑のセリフ、反抗期めんどくせーww
キモいソルジャー箕島には「このおじさん生理的に無理」と大暴言wwこのやりとりも笑えた。
沼田が何者か探るシーンでは「村野!行け!!」と勢いのあるセリフ、これも笑えた。
玉造に言い放った「カッコつけて一番になれるほど、甘い世界じゃないんじゃないの!!」というセリフには凄く力があり、心に突き刺さってきました。
ゆいぽんの声には勢いというか力があって、そこが凄く魅力的だなと。
でも笑わせるだけじゃなく、繊細というか細かな所まで作りこまれているのがゆいぽんの演技の魅力。
ちょっと斜に構えたような立ち姿、ポケットに手をつっこんでツンツンした感じで携帯をいじる。その姿からは、よく研究して役をつくっているなというのを感じます。
啓が杉山をはじめとする皆に映画のことを語るシーン、”映画には力があるんです”という啓のセリフに一緒にうなずき、優しい目、涙混じりの目で啓を見守る。セリフはないけれど、このシーンのゆいぽんの演技は圧巻で目が釘付けになるもの。
でもきっちり反抗期真っ只中で、感動のシーンなのに「メリークリスマス」を言わないww
カストロ映画館で働き始めれば、受付で頬杖ついてるし、「名前書いて!」と敬語なしの接客。
千秋楽では受付の名簿で紙飛行機を折ってましたね(笑)
途中から加わった啓とじゃれるラストシーンでは、ゆいぽんの持つかわいらしさが全開!
お姉ちゃんのことが好きなんだろうなと感じさせる心暖まるものでした。
反抗期なんだけど実は凄く真っ直ぐでかわいらしい、穂崎飛鳥という人間が持つ魅力を存分に引き出す演技だったと思います。
ゆいぽんの演技を見ていつも思うこと。
演じる役は色々。反抗期の女の子、思ったことズバズバ言う女子大生、甘えん坊の妹、元気いっぱいの小学生、、、
でもどんな役を演じても必ずと言っていいほど、ゆいぽんらしさみたいなものが滲み出てくる。今回もそう。
これってすごくないですか???
それはきっと女優如月優衣の味なんだろうなと。
ゆいぽんは本当に魅力ある女優、これからの活躍をますます楽しみに、これからも応援していきたいと思います。
チーム・ギンクラさん、ゆいぽん、充実の5日間をありがとう!