前回の記事 では、フランスのルーブル美術館とモナコ公国の旅について、軽く書かせていただきました。


今回は、この旅行(パックツァー)にいた新婚さんのお話です。


******


パリは極寒でした。


その寒さゆえに、モナコに移動する飛行機の中で、しきりに鼻をかんでいる女性がいました。


そう…

新婚の奥様である。


どうやら風邪をひいたらしい。


モナコに着き、数時間の自由行動後、翌日はモナコ大聖堂などの観光が控えていました。


皆と同じレストランで夕食の食事中、新婚の奥様は

「あー、食べられない、具合が悪い」

と愚痴をこぼしていました。


「明日は○くん一人で行ってくれる?」

「そんなに具合が悪いのか?」

「熱があって、身体中が痛いのよ」

「じゃあ、俺もホテルで付き添うよ」

「やめてよ。子供じゃないんだから」

「一緒にいるよ」

何かあれば自分でフロントにコールするわよ」

「でも…」

「たくさん写真撮ってきて、見たいから」

「う~ん」



******


翌日、添乗員の話によると、この新婚さん二人ともモナコ観光に参加しないという事でした。


他の乗客は、

「新婚だからね~」

「何かあると困るからね~」

という話題でした。


…でも、

私の考えは違っていました。


海外旅行(パックツァー)の場合、保険に強制加入させられるのですけど、その保険は日本語OKのスタッフがきちんと対応してくれるのです。

ホテルもきちんとしたホテルだから、フロント対応も期待できる感じでした。


しかも、その奥様本人は、夫に付き添わなくていいと言ったし、写真を撮ってきて、とお願いもしました。

何かあれば自分でコールする、とまで断言していました。


ならば、夫は観光に参加してもいいのでは?と、私は思ったのです。


これをお読みの皆様方に、勘違いしないように加筆すると、

彼女が「お願い、付き添って」と言えば、夫が観光に参加しないのも頷けますし、そうするべきだと私は思います。


でも、その奥様は付き添わなくていい、と言っているのだから、その通りにするのが、本当の優しさだと、私は思ったのでした。


読者の中には、「付き添わなくていい」という発言の裏には、「付き添ってほしい」という意味合いがあるのでは?と、お思いの人もいらっしゃるでしょう…。


しかし、海外旅行パックツアーという集団行動において、

そのような「いやよいやよも好きの内」のような発言をするのは、周囲の人間に迷惑をかけますし、

まして、結婚に至るまでのある程度のお付き合いをされているのでしょうから、そのような意図を汲む発言でない事は明確でした。


彼女の意思は、夫だけでも観光に参加してほしいという気持ちでした。

その気持ちは、その後の旅行中の態度で表明され、裏づけされるものでした。



******


観光が終わり、日本に向かうべく空港にいた時、その新婚さんの喧嘩が始まった。


「○くんだけでも観に行っていれば

 写真があったのに、何もないじゃない」

「付き添ってあげたじゃないか」

「私は一言も付き添ってほしいって言ってない」

「○ちゃんが可哀そうと思ったから

 付き添ったんだよ」

「それは嬉しいけど

 私は熱があってもコールぐらい出来ます」

「苦しそうだったし、水も飲ませてあげたんだよ」

「近くにいたからお願いしただけよ

 一人だったら、自分で水を飲んだわ」

「だったら、俺に水ちょうだいって言うなよ」

「は?看病するつもりで残ったんでしょ?

 水をお願いしただけなのにそんな事言うの?」



その新婚の夫は

付き添う事が優しさであり、彼女の為になると思ったようです。


妻は

夫には、私に付き添わないで観光を楽しんでほしいという優しさがあったようです。

そして、夫だけでも旅行の土産話ができてほしいという願望があったようです。


相手を思ってした優しさの行動が、お互い食い違っていました。



******


帰りの飛行機内で


その新婚さんは、私の後ろの席なので会話が聞こえてきます。


「俺は間違っていないぞ

 付き添って当たり前だと思う」

「私は自分でコールできるのに」

「俺が風邪で仕事を休む時

 母親が会社に電話するぞ」

「えっ!私会社休む時、

 自分で電話するわよ

 母親に頼まないわよ」

「風邪なのに自分で電話したら

 不審に思われるだろ?」

「何言ってるの?

 風邪でも何でも自分で電話するのが

 当然でしょ?

 学生じゃないんだから」

「俺が風邪で仕事休む時

 ○ちゃんは仕事休んで

 付き添ってくれないのか?」

「付き添わないわよ

 無理よ、そんな理由で仕事休めないもの」

「電話は?」

「自分でかけてよ

 どーしても無理なら電話くらいかけるけど」

「………」

「残業しないで急いで帰る努力はするわよ」



******


話題はお土産の話に移行しました。


「○くんは、何でもいいよって言うけど、

 ○くんのご両親のお土産これでいいのかしら」

「何でもいいよ、任せるよ」

「でも、全部私が決めているのよ」

「俺より○ちゃんの方がセンスいいから」



この会話を聞いて私が思った事。


何でもいい、任せる、という言葉。


これって、相手に選択権を与え、相手を優位にさせているようですけど、実は、当人は責任逃れをしているイメージが、私にはあるのです。


私もリアル世界で同様な経験があります。

「うさぎさんに任せるよ」と言われたので、自分で決めたら、後から文句言う人。


こういう人、いますよねー。


相手に任せると言って責任放棄したのですから、ゴチャゴチャ後から文句を言わないでほしいですよね。



******




成田空港に着いた時、

入国ロビーで、


その新婚さんはお互い離れて立っていました。


困り顔の夫。

不機嫌そうな妻。


成田から東京へ直行するバスも、離れて座っていました。


昔、マザコンのTBSのドラマで一世を風靡した【冬彦】

まるで、冬彦のリアル版を見ているようでした。


私は女性だから、この新婚さんの奥様の味方をしたくなってしまうけど……



多分、この夫婦の性格だからこそ、上手くやっていけるんじゃないかなぁと思っています。

成田離婚……どうかなぁ~。



夫婦喧嘩は、犬も食わない…て言うから(笑)




******



その奥様が、夫に背を向け、私のデジカメの写真を見入っていたのが、


            これ↓


グレース・ケリーのお墓




そう、グレース・ケリーのお墓でした。


その奥様、見に行きたかったんだね…。



******


追記


あぁぁぁぁぁぁ。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。


おもしろおかしく書こうと思ったけど、怒りのような文章になってしまいました。

こんなはずじゃなかったのに…。


すみませ~ん。


私の精神状態が、文面に表現されやすい物書きなんですよ。


世の中には、こういう人もいるんだねぇ~と笑って読んでくださいませ(ぐすん)