わが家が築20数年を迎えたところで全面リフォームをいたしまして、それに際して、使わなくなった子供部屋を私の自室兼オーディオ・ルームに改装することにしたんです。結婚後30数年にして初めての嬉しいマイ・ルームです。壁と床の内部に防音材を施し、左右の壁には音響板を貼ってもらいました。使用した材料は、オーディオ関係の建材も手掛けている大建工業さん(大阪市)のものです。

 壁の材質については、コーディネーターの方が「ぜひ布壁(ぬのかべ)にしてください」というので、「へー」と思いながらも、天井も含めてそのようにしました。出来上がった実物を見ると、全面に細かな凹凸があります。布というので衣服のような柔らかな素材をイメージしていましたが、けっこう固く仕上げられています。

 この壁は予想外に良い効果を発揮してくれました。音の多重反射であるフラッターエコーや、低音が不自然になるブーミングが抑えられ、微細な凹凸が細かく音を乱反射させ、布製でありながら程よい固さゆえに吸音過多とはならず、大げさに言えば、壁が音をきれいに浄化してくれる感じになります。このあたりの感覚は、板張りのキンキン響く部屋とは明らかに異なります。

 はじめはやや懐疑的に思っていた布壁ですが、たいへん気に入りましたので、皆さまもリフォーム等で部屋の壁を変える際には、ぜひ検討なさってみてください。ただし、布の性質上、臭いや汚れを吸収しやすいという欠点があるでしょうから、部屋をきれいに保つよう心掛けなくてはなりません。タバコなど、もってのほかです。