本日10時より行われた

会津漆器技術後継者訓練校第6期生修了式に出席してきた。


市長をはじめとするご来賓の方々、

訓練校の指導員、

会津漆器協同組合の関係者、

報道関係者など、

多くの出席者が見守る中、

卒業生に対し修了証書、技能照査合格証が授与されました。


送る側の立場にいる私としては、とても複雑な心境。

会津における後継者養成事業とは、訓練校で技術を学んでもらうだけでは終わらない。、

その後、学んだ技術を更に磨いて自分のものにしてもらい、

最終的には、会津の地で漆器産業に携わって産地に貢献していただくことがゴールである。


しかし、現実はむずかしい。

組合としても、

訓練校の運営だけでなく、

自立に向けた支援との両輪でサポートする手立てを模索中である。


しかし、自立支援のための自立支援だけでは根本的には無理なのだ。

実はもっと大事なことがある。

それは会津漆器を多くのお客様に知ってもらい、買っていただくこと。

つまり需要拡大すること。需要が増えれば自然と新人職人にも仕事がまわる。

問題は単純。しかし需要拡大は誰もが今一番頭を悩ましている問題でもあるのだ。

ただ正直今まで後継者自立支援と需要拡大は、

頭の中で結びついているようで結びついてなかった。

後継者の自立支援と需要拡大というキーワードをつなげてみることによって、

産地全体として新たな取り組みが出来るかもしれない。


少し話がそれるが、最近思っていることがある。

漆器全体の需要が低迷している中で、

各漆器産地は、産地間競争とまでは言わなくても、

それぞれ独自の活動をしているのが現状だ。

できれば、売れない今だからこそ、

全体でまとまって、漆器の啓蒙活動や販売活動を行うことが必要かと思っている。

商品開発は各産地、各商店問屋、各職人が独自に、あるはグループで行い、

それぞれ個性を競い合うことが良いと思う。

しかし、漆器自体の宣伝活動や販売活動は、まとまってやったほうが、

資金を出し合って集中して事業を展開できるので、全体への波及効果が期待できる。


それと、今まで○○塗というそれぞれの産地ブランドに固執して展開してきたが、

漆器が分業体制で制作されるという性格上、

需要の減少と作り手の減少により産地内で自己完結することが、これから困難になってくるとが予想される。

これから日本の漆器産業全体が生き残るためには、

産地間で商店問屋レベル、職人レベルで連携し合い、

得意な分野をそれぞれ生かしながら、産地以外の力も借りて、

自分(商店、問屋、職人)のブランドで勝負する時代に入っていくべきかもしれない。

産地ブランドにこだわらない販売ができれば、

木地、塗り、絵付ともそれぞれどこで行われたかをはっきり言っても何ら問題はない。

実は連携という意味では既に行われているが、

出来た塗り物は、中心になって動いた者が属する産地名ブランドになっているものも多い。

また産地に属さない商店、職人さんもいらっしゃる。この場合自分の名前がブランドだ。


このように発想の視点を変えてみると、見えなかった道が見えてくる。

ただそれが、正しい道かどうかはわからない。