昔、この扉に封印をしたのは私自身。

のぞいたら最後、後戻りはできないコトもわかっているからこそ
そこに封印して
だから穏やかな毎日を暮らしてたと思うし、
これからもそうなるはずだった。

数年前から封印したはずのものが
カタカタ音をたてながら、
ここから出せ、ここをあけろ、開放しろと
騒いでいるのもわかってて。

ずっとそれでも見ないフリをしていたこと。
見ないフリをしなければ、今の生活は多分、崩れる。

でも、もうほんとに限界で、
満たされないものが封印の蓋の上にまで染み出してきて
それでも、そこは見ちゃいけないと逃げて
でも逃げ切れず
蓋の上にたまっている上澄みだけ拭い取って・・・・
拭い取ってやればそれでまだなんとかなるハズだった
・・・・いや、今にして思えばそんなのは無理だし、時間の問題だったというべきか。
抱え切れていないものがそこまでになったからには
一度、開放するべきなのか、
いや、でもそれをしたら・・・・。

一度限界が来てしまったものは、
もうブレーキをこばんでしまう。
ブレーキのかけ方、封印のしかた、方法をしっていても
そのために必要なものすら手元になくなると
もう、どうにもならなくなる。

硬い封印がはちきれそうになっている。
扉の前にたたずみ、どうすることもできないでいる私。
背後から突然その封印の一部がそっとはがされる。
それでもまだ全部はがれたわけではなく、
まだ大丈夫。まだ見なくて大丈夫と思いながら
とけかけた封印の向こうからすごい勢いであふれだしたものだけを
すくっては飲み干していく。
ずっとずっと・・・・見ないフリしてきたそれは
あまりにも甘美でこのまま一気に飲み干してしまいたい欲望をさらに生む。

いつのまにか・・・・

巨大な扉の前にしゃがみこんで
開きかけた扉の中からもれだしてくるそれを
すくってはのみほす私に
不意に背後からまた別な誰かが来る。
「気がついてないの?もう封印はすっかりはがれてるよ」

気がつきたくなかった。だから見ないフリできた。
言わないままでいてほしかった・・・・


もう、そこまでしたならいっそ扉もあけてくれればよかった。
でも、封印をはがしたひとも、封印がとかれていることを教えてくれた人も
扉は開けてくれない。
扉をあけるのは自分だよと
・・・言うだけ。
私はただ、もう、ゆらゆらとかすかにうごく扉の前で
扉にかけた手を動かせず
泣きじゃくるだけ。