こんな記事をネットで見つけたのでコピーしてきました
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アカラシアを内視鏡で治療
患者への負担少なく、手術抵抗性にも有効
日経メディカル2010年11月1日
内視鏡を食道の粘膜下層に20cm近く挿入して、食道アカラシアを治療するという、新たな治療法が世界の注目を集めている。
患者への負担が少なく、手術抵抗性の患者でも効果が確認されている。
「これは世界の外科学史上に特記すべき偉大なる発想と手技」。
消化器の内視鏡治療に詳しい大分医大名誉教授の内田雄三氏は、昭和大横浜市北部病院消化器センター教授の井上晴洋氏が新たに発案した食道アカラシアの内視鏡手術をこう絶賛する。井上氏が発案した方法とは、食道粘膜下に内視鏡を挿入し、筋層を切り開くことでアカラシアを治療するというもの。
アカラシアは、食道の蠕動障害や嚥下時の下部食道括約筋(LES)の弛緩不全を特徴とする食道運動障害だ。
LES圧が上昇し食道が狭窄することで通過障害が生じ、嚥下困難や胸焼けが起きる。
発症率は10万人に1人程度で、好発年齢は20~40歳の若年者だ。
若年の女性が発症することから、拒食症と誤診されることもある。
アカラシアの治療の基本は、狭窄を緩めることだ。
筋弛緩効果のあるカルシウム拮抗薬などによる薬物療法、バルーン拡張術、比較的新しい治療法のボツリヌス毒素のLES内直接注射などが行われている。
これらの治療法で効果が不十分な重症患者に腹腔鏡手術が施行される。
手術では、食道の外側から、粘膜と粘膜下層を温存した上で、食道下部から胃噴門部の筋層を切開する筋層切開術(Heller法)に、通過障害を解除した後に生じやすくなる逆流を防止するための噴門形成術(Dor法)を組み合わせた、鏡視下Heller-Dor法が標準的治療法として普及している。
井上氏が発案した新たな治療法は、食道粘膜に直径2cm程度の穴を開け、そこから内視鏡を食道の粘膜下層に20cm近く挿入し、食道の内側から電気メスで筋層を切開するというもの(図1)。同治療法はPOEM法(Per-oral endoscopic myotomy)と命名されている。
筋層切開について井上氏は、「緊張のかかった太いゴムチューブに切り込みを入れる場合と同じで、切開された筋層は約1~2cmの隙間を生じる」と説明する。
治療後の回復も早い
これまで井上氏は、50人の患者を対象に、POEM法を実施している。POEM法を受けた患者では、LES圧が有意に減少し、狭窄が軽減することが確認されている(写真1、図2)。また、最悪の状態を10として、患者の自覚症状を評価したところ、POEM法治療前の10から、治療後は1.3まで改善していた。
POEM法による治療前(左)と治療後(右)の食道の様子。治療前に見られた狭窄が治療後改善している。嘔吐や胸痛などの臨床症状も消失した。
POEM法は患者への負担が少ないという特徴も持つ。治療時間は1時間程度で、粘膜をきれいに残すことができるため、治療後の回復が早い。治療後1~2日で食事摂取が可能で、通常の入院期間は4日ほどだ。
治療に伴い、3割弱の患者で胸痛、1割強の患者で発熱(38℃以下)が観察されたが、重篤な有害事象はこれまでのところ観察されておらず、全例で経過が順調という。
手術の弱点を克服
「POEM法は、これまでの手術の欠点を克服している」と井上氏は強調する。腹腔鏡手術では、食道周囲や噴門部を固定している靭帯などの組織を剥離する必要があるが、POEM法ではその必要がない。また手術では、「胸側からアプローチするため、食道の後壁が肥厚している患者への効果は限られる」(井上氏)。さらに、手術で切開できるのは下部食道のみで、中部食道まで異常収縮のある患者に対応できなかった。
アカラシア患者では、噴門を締める圧力であるLES圧が亢進しているが、POEM治療後、有意にLES圧が低下することが確認された。
一方、POEM法では、360度、どの角度にも内視鏡を挿入できるため、「腹腔鏡手術で難しい後壁の筋層も切開できる」と井上氏。加えてPOEM法では、手術に比べて約2倍の長さの筋層を切開できるため、下部食道に加えて中部食道にも異常がある患者も治療できるという。
これまで井上氏は、手術後も症状が改善しない患者3人にPOEM法を実施している。「手術既往のある患者では治療時間は約3時間と長くなったが、全例で治療に成功している」と語る。
課題は手技の難易度
現在、POEM法を実施している医師は、発案者の井上氏ただ一人。
これまでに、国内外から多くの医師が見学に訪れているが、見学した医師は皆、自分には難しすぎると語っているという。粘膜下層に内視鏡を挿入するため、粘膜を傷付けたり、食道穿孔を生じるリスクがあるためだ。内田氏も「安易な実施は禁物、訓練が必要」と指摘する。この点について井上氏は、「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が世に出たとき、器用な医師のみが可能な手技と考えられていたが、今では広く普及している。同様なことが、このPOEMでも生じるだろう」と楽観的だ。
これまで井上氏は、POEM法による治療を自費診療で実施していたが、症例が蓄積したことから、今年7月に先進医療に申請した。先進医療として認められ、POEM法の認知度が向上することが期待される。
[参考文献]
1) Inoue H et al. Endoscopy 2010; 42: 265-71.
以上
追加です
2011年4月20日にPOEM法の手術をうけた方は102例目だったそうです。
やはり
POEM法の井上先生は”神の手”?
日本中にPOEM法が広がるには、
時間がかかりそうだと
これを読んであらためて思いました。
この記事は
医師向けで
専門用語がたくさんあって
難しかったですね (;^_^A