アニメ・プロデューサーZの極月日記(ごくげつにっき)

アニメ・プロデューサーZの極月日記(ごくげつにっき)

基本フリー的な?アニメ・プロデューサたちが、日々起こった出来事や、モメ事、グチなどを書き連ねる、グダグダな日記どぇす。

仕事がバタバタしていて、またほったらかし状態になりまして申し訳ありませんでした!!!

現在巷で話題になっている、原作物のアニメ化に向けて絶賛進行中であるので、今回はこの問題に関して現場Pとして、長年この業界にいる昔漫画家を目指していた、現役爺アニメ・プロデューサーとして私見を話したいと思います。

 

結論から言うと、里中先生も言っていた通り、原作とアニメさらに実写(ドラマや映画)を別物と認識できない方は、いくら出版社から依頼があっても許諾はしてはダメです。

原作者の許諾がなければ、一切原作がアニメ化や実写化される事はありません!!!!それだけ原作者の意向は強いし絶対です‼
では、なぜ原作漫画・小説とアニメ、実写は別物かと言うと、基本どなたかが言っていましたが、メディアとして別物であると同時にアニメと実写は時間制限があるからです。それと出版媒体である小説や漫画は、親和性が高いですが、アニメや実写とでは媒体(メディア)が違うので、驚くほどに親和性がありません。漫画とアニメは一見すると親和性が高いように見えますが、やはり媒体が違うので、親和性はとても低いです。

 

この辺の事を原作者さんも、正直もっと勉強して欲しいです。自分の子供とも言える作品を別媒体に提供するのであれば、いくら育てて貰った出版社の言う事でも、最低限どうなるかは熟慮してから結論を出して欲しいです。

では、出版社はどうしてアニメ化や実写化と言った、マルチメディア化に走るのでしょうか?ある作家さんが言っていましたが、原作使用料は確かに大変安いです。それでも出版社がマルチメディア化したがるのは、出版社の本業である、本が売れるからです。
アニメ化や実写化される事で、その作品の新刊そして驚く事にオワコンの既刊本までも売れる事になるからです‼⁉チョッと話題になれば、間違いなく数千万~億単位の売上になる可能性が高いからです。

しかもアニメ化の場合は、これにキャラクターグッズの売り上げ印税が足される事になります。出版社が儲かるイコール原作者も儲かるのです。
ある原作者の方は、安い原作料で大変みたいな事を言っておられましたが、その作品が他メディアで展開されたお蔭で、原作出版物の著作印税がいくら入って来たか話された事は聞いた事がありません。

マルチメディア化で出版社には、何のリスクもありません。安いかもしれませんが、原作使用料が入ってくる上に、他のメディアが自社メディアを売るために必死で広告宣伝のプロモーションを展開するので、間違いなく原作本は売れる事になります。

 

確かに出版社は、自社の利益のために、マルチメディア化に熱心になる事もありますが、逆にある作家さんを売りたくてマルチメディア化に取り組む事もあるんです。

 

アニメ化をする時我々は、どうすればこの原作をアニメにするに当たり素晴らしい作品にできるか真剣に考えた上で、原作者のチェックを受けるようにしています。最近、日本の大人向けアニメが海外でも売れるようになると、世界的に話題になるよう、我々アニメ屋は考えるようになっています。

それはなぜかと言うと、最近のスポンサー事情が一昔前と違って、かなり大きな変化に見舞われているからです。皆さんご存知のように、配信業者TVに変わって大スポンサー様になって来ているからです。

そうなると、海外展開の事も考えなければならず、(昔は海外番販と言って、海外TV局が相手でした)海外で問題視されるであろう、宗教や民族に関する表現があった場合、原作を改変しなければなりません。当然、我々は事前にその旨、原作者先生には伝え、許可を取った上で進めますが…⁉

 

ある人は、原作を変えないで欲しいと言う方がいます。その結果、原作通りに作ったとします…多くの場合間違いなく(あくまでも私見です)失敗します。なぜなら前にも言いましたように、メディアの特徴が違うので、原作通りに進行すると、最近のタイパ重視のユーザーには、まず耐えられないと思いますヘタすると、一話目でダメ作品のレッテルを張られる事になるでしょう!!!

私なら、その作品の見どころを少なくとも3話位まで目一杯に詰め込んで、見応えのある構成に持って行くようにします。それが、原作の順番通りの話しの展開でなくても、そうします。それが小説や漫画と言った活字原作メディアと、アニメ・実写と言うメディアの違いだからです。

この辺の事を、原作者の方々にはもっと勉強して欲しいです。

それこそ、漫画小説版アニメ版実写版と言う原作があるんだと認識して欲しいです。その上で、他メディアへの許可をして頂けるとありがたいかな?と思います。それが難しいようであれば許可しないで欲しいです。

 

私の師匠筋である漫画原作の大師匠も、その辺の事は良く勉強していました。その師匠は、時代劇が得意で原作物がドラマ化され大ヒットしました。

それがキッカケで、他作品の実写化がたくさん舞い込んだんですが、この作品は実写化したら、問題が起こると言って、いくら実写化の要請があってお金を積まれても、絶対許可しない作品がありました。これは、その作品が漫画だから表現可能なのであって、実写やアニメと言うメディアには向いていないと言う信念があったからです。活字媒体の先生方には、こう言った矜持を持って欲しいと思います。

 

最後に本当に私見中の私見ですが、亡くなった先生は、実写化の問題で亡くなったのでは無いと思います。世間の論調とは違った事が原因では?と私は考えています。私の元いたアニメ会社で、「クレヨン…」と言うアニメの原作者さんも不慮の死になっていて、今回の作者さんと同世代だった事からも、そう感ぜざるを得ません。

特に笑いをモチーフにした作者さんは、こう言う傾向に陥りがちな気がします。苦しかったら、絵を描く事を辞めた方が良いです。世間の話題になる事は無いですが、アニメーターもかなりの人数が自殺しています。アニメの絵描きには、特にナイーブでコミュニケーションが取れない方が多いので、常に心配しております。こう言う現実も一般の方に知って貰うのも必要なのかもしれませんね!!!

特にアニメーターの方々にはお世話になっていて、幸せになって欲しいのですが…そのためには、我々アニメPがもっと頑張らないといけないんですが……頑張りまーっス!!!⁉

長文になりましたが、最後までお付き合い下さいまして、ありがとうございました!


若い頃私が担当していたアニメ「ドラ〇もん」で原作者のフジッコ先生が、TV版のドラはドラじゃないと文句を言い続けていた話しなんかも原作とアニメの違いと言う事で話しかったんですが、またいつか気が向いたらお話し致します…では、では…また………暫く放置かな