ちよりは取り乱した様子で病室に飛び込んできた。
リノリウムの床にちよりのローファーの靴音が響く。
ちよりは怒ったような、それでいて泣きそうな表情で僕のベッドの脇に立った。
「何でそんなぼーっとしてたの?!階段から落ちるなんて!大丈夫なの?ちゃんと歩けるようになるよね。まだデートもしたことないんだよ、私達。痛くない?」
ここでようやく一息。
「これから毎日寄るからね。仕事も当分休みでしょ?ある意味、一緒にいられる時間ができてラッキーだけど。ホントに早く治してね。初めて彼氏ができたのに、一緒に遊びに行けないなんて嫌だよ」
「ゴメン」
僕は口数が少ない。
無口な方ではないのだが、ちよりの話は切れ目がない。
だから、僕は思っていることの半分も伝えられない。
「ゴメンね、いきなりしゃべり倒して。メール見てホントにびっくりしちゃって、慌てて学校早退してきたから」
「早退?ダメだよ。授業は受けなくちゃ」
「いいの。どうせ気になって上の空なんだから。でもよかったぁ、元気そうで」
「怪我だからね。病気じゃないから、寝てればちゃんと治るよ。安心して」
「そうね。よかったぁ。心配したよ。気をつけてよね、ホント」
ちよりはそう言って泣いた。
僕の涙とは違い、キラキラしてまぶしい涙だった。