ちより。
可愛らしい、彼女にぴったりの名前だ。
勿論、その素直な感想をそのまま述べる勇気は、僕にはなかった。
いい名前だねと、当たり障りのない感想を述べるにとどめた。
彼女は笑顔で「ありがとうございます」
そして「沢口さんは下の名前、なんていうんですか?」
「今日は部活なかったんだ?」
「はい。土曜日はないんです。で、下の名前は?」
「そうかぁ。土曜日くらいはゆっくり遊びたいよね。僕も学生の頃はそうだったよ。でもね、ほとんど毎日部活があって、土曜日は筋トレの日って決まってたんだ。
だからロクな思い出がない。ホントに土曜日って大嫌いだった」
「あれ?なんか誤魔化そうとしてます?下の名前、教えてくれないんですか?」
どうやら逃げられなさそうだ。