133.


「お前が、朝霧深紅・・・ブレイクマンのアキレス腱だな」
「な、何のこと?」
惨状と化した格技館で、座り込む深紅を見下ろし形でその影は言った。
「安心しろ。お前には利用価値がある。殺しはしない。その娘や・・・」
黒い影は振り向くと手に持った銃のようなもので辺りを無造作に攻撃した。断末魔がそこかしこから聞こえる。深紅は目を覆った。黒い影の男が何をしたかは見ないでもわかる。次々と聞こえる悲鳴は、たった今まで一緒に稽古をしていた部員たちだ。撃たれた者達は声にならないうめきを発し、やがてそれも聞こえなくなった。
「う・・・うわぁっ!」
格技館の外から、男子生徒の叫び声が聞こえる。最初の爆発には巻き込まれずにすんだのだろう。その後、粉塵で何も見えなくなっていたが、それもようやくぼんやりと見回せるようになり、この惨劇を目撃したのだろう。複数の男子生徒の悲鳴と、逃げ去る足音が聞こえる。友人たちのなれの果てを見ないよう、目を覆っていた深紅には、その音がやけに大きく感じられた。
「逃げろ!深紅ちゃん!」
走り去る男子生徒たちの足音、消えていくうめき声、それを切り裂いて叫ぶ声が聞こえた。