125.


憂弥はその場から逃げ出すように立ち去った。後ろで流太の声が聞こえたような気がしたが、憂弥は振り返ることなく校門を出た。なぜ、自分は逃げてきたんだろうと、憂弥は自問してみたが答えは見つからなかった。
「どこへ行く?このまま立ち去っていいのか?」
そんな声が聞こえたのは、憂弥がたった今通り抜けてきた校門の影からだった。
「誰だ?!」
以前のこともあり、憂弥は即座に身構える。
「ずいぶん警戒しているんだな。まぁ、落ち着け・・・」
「お前は誰だ?」
校門の影から現れた男は、2メートル近い長身だった。年齢は良くわからないが、おそらくは30台前半だろう。マントのようなものを羽織り、首から下はその陰に隠れて見えない。
「俺の名はリドル・クラブランド。ヘル・ライナーズだ」
憂弥は一歩間合いを取り、さらに緊張を高める。
「落ち着け。お前の相手は俺じゃない。俺は別のエリア担当でね・・・」
「別のエリア?」
「ああ、アメリカって言ったか・・・その国のニューヨークという都市を壊滅させるのが俺の役目だ。ここにはお前の顔を見るために来た」
「ニューヨークを壊滅?できるもんか。そもそも、そんな話を聞かされて、俺が黙ってお前を行かせると思うのか?」
「行かせるさ。お前には俺の相手をしている暇はない」
「どういうことだ?」
「お前のアキレス腱・・・あの娘、深紅といったか?俺よりももっと残酷な男が狙っているぞ」
「何だと?!」
その時、校門の向こう、格技館の方角から炸裂音が轟いた。