118.


しばらく黙っている憂弥を半ば無視するように、リックは続ける。
「とにかく、俺たちは主の復活の為にエル・フィリオンからもう一つのレヴィ・ストーンを奪うことは諦めた。だが、奴にライナー・フル様の石を渡す訳にはいかんってことだ。それは関係のない世界にも災厄をもたらすことになる。それ

は俺たちの信じた主の意志ではない。だから俺たちは守りきることにした。二つの石が揃わなければ、エル・フィリオンは時空の壁を越えられない。この世界に石があれば、それを狙ってくるのはレヴィア・・・同じ人間だ。それな

ら戦える」
「じゃ、いいじゃん。あんたが持っててくれれば」
しめたとばかりに憂弥はレヴィストーンを差し出す。
「いや、それでもお前が適任だ。神を出し抜くには、やはりサラマンダーの力が不可欠」
「そんな力、ねぇよ」
「期待だよ。敗北した俺たちが逆転にかける期待だ」
「逆転?」
「ああ、お前嫌だろ?一生狙われ続けるのなんて」
「当たり前だろ?」
「じゃ、質問だ。捨てるか?」
「・・・・・・」
憂弥は黙ってしまった。
「お前には無理だ。捨てられないよ。見て見ぬ振りもできなけりゃ、人に責任をなすりつけられもしない。お前はおびえながらも守り抜く道を選ぶ」
「冗談じゃない。俺は捨てるぜ」
「あの娘も捨てるか?お前の握っている石は、そういう石だよ」
深紅のことを言っているのだろう。リックは全てお見通しのようだ。他の三人はただ黙って憂弥を見つめた。
畜生・・・と、憂弥は小さな声で言った。