114.

「深紅、ちょっと待てよ!」
憂弥は深紅の後を追おうとして、胸部に激痛を感じた。はだけたシャツを脱ぎ、胸に手を当てる。
「ふさがってる・・・」
シリウスの攻撃で射抜かれた胸の傷は、もはや痕跡を探すのも困難なほどに回復していた。
(本当に夢だったんじゃないか?)
憂弥はこれまでのことが全てそうであったらいいのに、と考える。人を殺したという罪悪感が、再び憂弥の心を暗く覆っていった。
「起きてるか?」
入ってきたのはリックだった。
「深紅ちゃんだっけ?なんか凄く暗い顔して出てったぞ」
「あ、ああ・・・」
憂弥は胸に手を当てたまま、気のない返事をした。
「ロックとコールに会ったんだってな?」
「ああ、知ってるのか?」
「同じヘル・ライナーズだ。当たり前だろ」
「味方なのか?」
「同じヘル・ライナーズだ。当たり前だろ」
しばらく二人とも黙ってしまった。
リックはベッドの脇の勉強机に腰を乗せ、窓の外に目をやる。
「あの後・・・」