113.
シリウスとの戦闘から数時間後、憂弥が目を覚ましたのは見慣れた自室のベッドだった。朦朧とする意識の中、深紅の声が聞こえる。それはなぜかとても懐かしいもののような気がした。もう随分会っていないような不思議な感覚。憂弥はあの夜、苦しそうに憂弥にすがりついた深紅の肌を思い出していた。
「・・・っと・・・えてんのよ!」
(?)
「ちょっと・・・や・・・さいよ!」
(何だ?)
憂弥の意識は混濁している。遠くで深紅が怒っているような気がする。
「離せ、憂弥!」
突然深紅の声が明確に聞こえたと思ったが、次の瞬間激しい痛みをほほに感じる。
「何考えてるのよ!?」
目を覚ました憂弥は、痛みと共に深紅を認識した。
「あれ、お前何やってんの?」
「こっちのセリフだ!この変態!」
「へ?」
ようやく意識がはっきりした憂弥は事態を認識した。どうやら寝ぼけていたらしく、憂弥は深紅を抱きしめていた。
(ほっぺたの痛みは殴られたせいか・・・それにしても、いまさら抱きしめくらいで殴んなくてもいいだろうに)
「とにかく離して」
「あ、ああ・・・」
憂弥はようやく深紅を開放する。
「しっかしどうしたのよ?うなされてたわよ」
「うなされてた?」
「そう。死ぬー!とか叫んじゃって」
「は、はは・・・そういう夢でも見てたんだろ、きっと」
「ホントに夢?」
「え?」
深紅は答えず、部屋を出て行った。